2008 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌の薬剤耐性化機序の解明と新しい分子標的治療の開発
Project/Area Number |
19791135
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
太田 剛 Yamagata University, 医学部, 助教 (50375341)
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Keywords | 卵巣癌 / EGFR / gefitinib / Akt / ERK / DNA-PK |
Research Abstract |
我々は、gefitinib(イレッサ)をシスプラチン(CDDP)と併用することにより、CDDPが誘導するPI3K/AktやERK経路の活性化によるanti-apoptoticな作用を解除することによってCDDPの抗腫瘍効果を増強するか否かを研究課題とした。今年度は当初の計画通り、in vivoにおけるイレッサの卵巣癌細胞に対する効果について検討した。CDDP耐性株であるCaov-3をヌードマウスに腹腔内に注入し、2週間後より(1)vehicle(PBS), (2)CDDP, (3)gefitinib, (4)CDDP+gefitinibを4週間腹腔内投与した。その結果、gefitinibとCDDPの併用投与により、1) CDDP単独投与に比べて併用投与では腹水産生量、腫瘍形成量が著しく減少した。形成された腫瘍をホルマリン固定し、免疫蛍光染色にて検討したところ2) CDDPにより誘導される腫瘍細胞におけるEGFR, ERK, Aktのリン酸化がイレッサの併用により抑制された。3) 単独投与に比較し、腫瘍細胞のアポトーシスを増加させた。これらからイレッサは卵巣癌細胞株において、CDDPの抗腫瘍効果をin Vivoにおいても増強させることが示唆された。さらにイレッサがCDDPによるDNA損傷に対する影響についても実験を進め、以下の結果が得られた。DNA修復酵素であるDNA-PKの発現を免疫蛍光染色で検討したところ、4) イレッサはCDDPにより誘導されるDNA-PKの発現を抑制した。これらから、イレッサはCDDPが誘導するDNA損傷からの修復を阻害することでもCDDPの抗腫瘍効果を増強することが示唆された。
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