2007 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレス-胎盤形成-胎児 オートファジーとアポトーシスによる細胞死の視点から
Project/Area Number |
19791139
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中島 彰俊 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (00436792)
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Keywords | 妊娠 / オートファジー / 胎盤 / 胎児 / 環境ストレス |
Research Abstract |
今回の研究では、生殖現象とくに胎盤形成におけるAP(オートファジー)とアポトーシスによる細胞死を新たな視点から比較することを目的とした。はじめに、我々はEVT(絨毛外栄養膜細胞)細胞に注目した。なぜなら、EVT細胞の浸潤不全(=EVTの細胞死の増加)は胎盤の形成異常と密接に関与することが分かっており、胎盤の低形成が低出生体重児に関連することも知られているからである。臨床において、胎盤の低形成を認める最も重篤な疾患のひとつは、妊娠高血圧症候群(PIH)であることが知られている。そこで、EVT細胞の浸潤が妊娠維持機構に最も重要な機構の一つであると考えられるため、申請者はi)妊娠初期のEVT細胞の浸潤不全=流産、ii)妊娠中期のEVT細胞の浸潤不全=妊娠高血圧症候群(早期型)と考え、今年度はi)を中心に検討を行なった。これまでに申請者は、1)低栄養状態・低酸素状態・低グルコース状態においてPrimary EVT細胞にAPが発生することを、蛋白発現・電顕・蛍光顕微鏡可視化モデルの全てにおいて証明した。また、EVTセルラインにおいても、先述のストレス下12〜36時間でAPが誘導された。2)APの抑制(抑制薬剤およびタンパク発現レベル)により1)のストレス状況下でのEVTセルラインの浸潤が低下を認めた。3)浸潤に関与するメカニズムとして、APを抑制するとEVT細胞内のMMP発現の低下を認めた。4)実際の妊娠初期組織におけるEVT細胞にAPが起こっていること、を確認している。これまでの結果は仮定i)妊娠初期のEVT細胞の浸潤不全=流産、を支持するものであると考える。今年度は、この結果を発展させ、胎盤形成への関与を詳細に検討する予定である。これまでの成果にて、相馬賞(目本胎盤学会)および、Good presentation賞(日本産婦人科学会)を受賞した。
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Research Products
(3 results)