2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期に基づくタキサン化合物耐性機序の解明と耐性克服の試み
Project/Area Number |
19791151
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
佐藤 慎也 Tottori University, 医学部・附属病院, 助教 (10423261)
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Keywords | 癌 / 細胞・組織 / 薬剤耐性 / 細胞周期 |
Research Abstract |
卵巣癌において粘液性腺癌や明細胞腺癌は漿液性腺癌に比較して抗癌剤感受性が低く予後不良と考えられている。卵巣癌の予後改善への方向性として組織型別の治療が期待されている。卵巣癌におけるパクリタキセル誘導アポトーシス、パクリタキセル耐性の機序を明らかとし、基礎的治験に基づいた耐性克服の新たな戦略をたてることを目的とした。 卵巣漿液性腺癌細胞株(KF, SK-OV-3, SHIN-3), パクリタキセル耐性誘導株(KFT_x)、卵巣粘液性腺癌細胞株(MN-1、OMC-1、RMUG-L、RMUG-S、TU-OM-1)を用いて検討をおこなった。MTT assayによりパクリタキセルを含む各種抗癌剤に対するIc50を算出した。Ic50を用いた実験系でのArea Under the Curve(Assay AUC)と臨床的投与量のAUC(CA-AUC)を比較し, Assay AUCがCA-AUCを上回る場合に薬剤感受性ありと判定した。粘液性腺癌細胞株ではMN-1とTU-OM-1が5-FU、オキサリプラチンとエトポシドに感受性を示したが、パクリタキセルはすべての細胞株で耐性を示した。Median effect法による検討では、5-FUとオキサリプラチンとの併用はすべての細胞株で相加以上の効果を示した。Western blot法により細胞周期関連蛋白(MEK、p-MEK、Akt、p-Akt)、アポトーシス関連蛋白(Bcl-2、Bcl-XL)とDNA修復関連蛋白(ERCC1、XPF、XRCC1)の発現を検討した。5-FU暴露後のERCC蛋白発現低下が感受性増強に関与することが示唆された。粘液性腺癌細胞株を移植したSCIDマウスにおいて、5-FUとオキサリプラチンとの併用療法は有意に生存期間を延長した。5-FUとオキサリプラチンとの併用療法は粘液性腺癌に対する有効な治療法の一つと考えられた。
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Research Products
(2 results)