2008 Fiscal Year Annual Research Report
Digital Karyotypingを用いた卵巣明細胞腺癌の新規分子標的の検索
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19791152
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中山 健太郎 Shimane University, 医学部, 講師 (70346401)
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Keywords | 卵巣癌 / 分子標的 |
Research Abstract |
(目的)昨年、我々は新規転写制御因子NAC-1が卵巣癌、子宮頸部腺癌で有意に高発現しており、Oncogenicな機能を有する事を報告した。今回、NAC-1を標的とした治療法確立のための基礎的検討を行った。 (方法)NAC-1に対するSi-RNAやNAC-1のドミナントネガティブタンパクを用いた阻害実験を行った。免疫沈降法、ウェスタンブロット法を用いてNAC-1タンパクの結合領域の検討及び、機能解析を行った。 (成績)NAC-1のSi-RNAを用いた阻害実験ではNAC-1が高発現しているSKOV3、Hela細胞で細胞死が誘導された。次にNAC-1のタンパクレベルでの機能について検討した。免疫沈降法を用いてNAC-1タンパクはホモダイマーを形成し機能している事を発見した。NAC-1タンパクのDeletion mutantを作成し免疫沈降法を用いるとN-terminal領域にてNAC-1はホモダイマーを形成している事が明らかとなった。NAC-1が高発現しているSKOV3、Hela細胞にN-terminal領域のSmall deletion mutantを遺伝子導入し発現させ、蛍光染色するとNAC-1の形態が点状からヌードル状に変化した。すなわち、N-teminal領域のDeletion mutantはドミナントネガティブタンパクとなり得る事が示唆された。そこで我々はN-terminal領域のDeletion mutantがトネガティブタンパクの機能を持つか否かについてTet-off system(テトラサイクリン誘導ベクター : 倍地中のテトラサイクリン濃度を変える事により遺伝子発現を調節できる)を用いてDeletion mutantの発現調節を行った。この結果、Deletion mutantを発現させるとSKOV3、Hela細胞にはいずれも細胞死が誘導された。このTet-off systemを導入したSKOV3、Hela細胞をヌードマウスに移植し腫瘍生成後、ドミナントネガティブタンパクを発現させると、腫瘍は縮小した。動物実験に関して倫理委員会の承認を得ている。(結論)NAC-1のN末結合領域に作用し、BTB結合を抑制するsmall compoundあるいは、peptideの合成が、卵巣癌に対する新規分子標的治療になる事が示唆された。
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