2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト型子宮内膜症モデルマウスの作成とその非侵襲的リアルタイム解析システムの開発
Project/Area Number |
19791162
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
升田 博隆 Keio University, 医学部, 助教 (80317198)
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Keywords | 子宮内膜症 / 子宮内膜 / エストロゲン / プロゲステロン / 免疫不全マウス / BLI(bioluminescence imaging ) / モデルマウス / リアルタイム |
Research Abstract |
子宮内膜症(内膜症)は、月経困難や下腹部痛などを主症状とする治療困難なエストロゲン依存性疾患である。現在、内膜症の研究ツールとして用いられている動物モデルは、移植時の定量性と構築組織の再現性、長期間の非侵襲的かつリアルタイムの定量的モニタリング、といった点を十分に満たしているとは言い難い。そこで、これらを克服した新しい内膜症モデルマウスの開発を目的とした。 同意を得て採取したヒト子宮内膜を酵素処理で分散し、その細胞(SDECs)5×10^5個を重度免疫不全マウスの腎被膜下に移植した。 estradiol (E_2)とprogesterone (P_4)の調節投与により様々な月経周期様環境を作り、10週後の移植部位にHE染色と免疫組織染色を行い細胞系譜及び機能の解析を施行した。また、SDECsにlentivirusを感染させることでluciferase(luc)を恒常的に発現する内膜細胞(LEECs)を作成し、同様に重度免疫不全マウスの腎被膜下に移植した。そのマウスにE_2とP_4の調節投与を行い、移植細胞のluc活性を体外から経時的に計測し構築組織量の定量的解析を行った。 SEDCsを移植されたマウス全ての腎被膜下に子宮内膜様組織の再構築を認めた。この組織はE_2投与では増殖期様変化を、P_4併用では分泌期様変化を、P_4の消退では月経様変化とともに活動性内膜症腹膜病変に類似した肉眼的形態変化を惹起した。 LEECsの移植では、再構築組織のE_2依存的な用量時間的増大およびE_2とP_4の調節投与による月経様変化を、luc発光強度を体外から計測することで非侵襲的かつ経時的に定量化し得た。 我々は、少量の細胞から均一の異所性内膜様組織を持つ動物モデルを作成することに成功した。また、長期にわたりその内膜様組織の非侵襲的かつリアルタイムな定量化が体外より可能であった。このモデルは内膜症の新規薬剤の評価システムに加えて、内膜症および正常内膜の機能メカニズムの解明への貢献も期待される。
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