2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト型子宮内膜症モデルマウスの作成とその非侵襲的リアルタイム解析システムの開発
Project/Area Number |
19791162
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
升田 愽隆 Keio University, 医学部, 助教 (80317198)
|
Keywords | 子宮内膜症 / 子宮内膜 / エストロゲン / プロゲステロン / 免疫不全マウス / BLI(bioluminescence imaging) / モデルマウス / リアルタイム |
Research Abstract |
昨年度までに、我々はluciferaseを恒常的に発現する子宮内膜細胞(LEECs)を腎被膜下に移植することで、長期間にわたり非侵襲的かつリアルタイムな構築組織の定量的モニタリング可能なシステムの開発に成功したが、このシステムの子宮内膜症研究ツールとしての新たな可能性の究明を目的として研究を行い、以下のような研究成果を得た。 lentivirusにより作成したLEECsを重度免疫不全マウスの腹腔内、皮下、腎被膜下に移植し、定期的に体外からluciferase活性をモニタリングし比較を行ったところ、腹腔内移植ではより少ない細胞数にて体外からの観察が可能であり、発光部位の経時的な移動よりその細胞は腹壁や腸管に正着したと考えられた。皮下移植した細胞はさらに少ない細胞数にて一定した場所で観察が可能であった。腹腔内および皮下移植では、luciferaseの発光を体外から確認できるものの、肉眼的に組織構築を確認できなかった。一方、腎被膜下移植では肉眼的な組織構築を認め、腺上皮細胞、間質細胞、血管を含む子宮内膜様組織が認められた。なお、観察可能期間は腎被膜下移植が最も長かった。 また、腎被膜下移植で再構築された組織に対し増殖期細胞マーカーであるKi-67の免疫組織染色を施行したところ、E_2とP_4の調節投与で模倣した月経周期様環境の各時期においてKi-67陽性細胞は腺上皮および間質中ともに存在しており、間質のKi-67陽性細胞はα-smooth muscle actin陽性細胞から近くの比較的一定の位置に存在していた。 以上より、この内膜症モデルのリアルタイム解析としては腎被膜下移植が最も適しており、腎被膜下で再構築される異所性内膜様組織はある極性もって増殖していることが判明した。このシステムは、内膜症組織増殖メカニズムの解明ツールとして有用であると考えられる。
|