2009 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症の卵巣明細胞癌、類内膜腺癌への悪性メカニズムの解析
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19791168
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
赤羽 智子 Keio University, 医学部, 研究員 (40398699)
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Keywords | 卵巣癌 / 卵巣明細胞癌 / 卵巣類内膜腺癌 / 卵巣子宮内膜症 / p53遺伝子 / 遺伝子多型 / 発癌リスク因子 / 発癌メカニズム |
Research Abstract |
本研究の目的は、卵巣癌の中でも卵巣に発生する異所性子宮内膜症からの発癌が推測されている、卵巣明細胞癌および卵巣類内膜腺癌の発疱メカニズムについて、蛋白および遺伝子発現変化とゲノム遺伝子変化の両面から解明を行うことを目的としている。本年度は実施計画書にもとづきゲノム遺伝子解析を中心に研究を遂行し、卵巣癌症例におけるp53遺伝子の多型頻度から当該遺伝子の多型が発癌リスク因子となりうるか検索を行った。これまでP53遺伝子codon72位のArg/Arg,Arg/Pro,Pro/Proアミノ酸多型は、他臓器にて癌症例にPro/Pro多型が高頻度であることが報告されているが卵巣癌における報告は少数であり、さらには日本人における頻度が他臓器の報告と異なっていることから当施設における解析を行った。解析症例は卵巣癌149症例を対象群とし、組織型別内訳は明細胞癌、類内膜腺癌、漿液性腺癌、粘液性腺癌、非対象群に非癌症例86例についてダイレクトシークエンス法にて波形検出を行い多型解析を施行した。その結果、非癌患者と比較し卵巣癌患者では、Pro/Pro多型が優位差をもって高頻度に検出され(p<0.003)、この頻度はこれまでの他臓器における報告と同様の傾向を示した。また卵巣癌症例の中で組織型別頻度の差は検出されなかった。よって当該遺伝子の多型は人種を問わず、卵巣癌においても発癌リスク因子となる可能性が示唆された。卵巣癌の中でも卵巣明細胞癌は白金製剤等の各種抗癌剤に抵抗性を示す予後の悪い腫瘍であるにも関わらず、本邦における罹患者数は欧米諸国と比較し、1950年代から2006年までの間に5倍もの増加傾向にあり、発癌予測因子の早期解明が望まれている腫瘍の一つである。よって本研究結果は遺伝子検査としての発癌予測因子となりうる可能性があることから臨床的にも意義がある。なお本解析結果については現在論文作成中である。
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Research Products
(15 results)