2008 Fiscal Year Annual Research Report
母体カロリー摂取制限による胎児オートファジーの誘導と発育への影響に関する解析
Project/Area Number |
19791173
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
根本 崇宏 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (40366654)
|
Keywords | カロリー制限 / 母体 / 発育 |
Research Abstract |
交配後の給餌量をコントロールラットの60%に制限した母体から生まれた仔ラットの体重は妊娠期間を通して自由に摂食した母ラットの仔よりも生後6週齢で25.5%軽く、体長も約20%短かった。生後7週齢での比較では摂餌制限群とコントロール群間では有意な差は見られなくなっていたが、摂餌制限群の10%で対照群の平均-2SD以下に満たない個体が存在した。カロリー制限母ラットの妊娠期間や出産数、仔ラットの9週齢までの生存率や出生児の体重あたりの臓器重量および肉眼的形態には変化が無かった。飢餓などでオートファジーが誘導されやすい肝臓で、低出生体重仔ラットのオートファジーの誘導をウェスタンブロッティング法で解析したが、コントロール仔ラットとの間に変化は見照れなかった。以上のことから、母体の40%のカロリー制限による子宮内発育不全では、胎仔および新生仔にオートファジーの誘導は見照れないことが明らかとなった。成長障害の見られた発育不全仔ラットの視床下部における代謝関連遺伝子発現量の比較では空腹情報を伝える胃由来のペプチドホルモンの受容体であるGHS-R発現量が対照よりも少なかった。このことは、胎仔期のエネルギー不足により空腹情報を視床下部に伝えるグレリンの作用が抑えられることで、エネルギー消費が少ない体になっている可能性が高いことを示している。我々は内因性グレリンのエネルギー蓄積作用について明らかにしており、今後、視床下部に発現するグレリンの変化と作用についてのさらなる解析を行う予定である。また、視床下部では抗不安作用を有するウロコルチン2発現量が減少しており、ストレス感受性が増加していることも考えられる。これは子宮内発育遅延児にみられる精神発育遅延に関与する可能性もあり、今後さらなる検討が必要であると考えられる。我々は、このウロコルチン2が下垂体にも発現し、ゴナドトロピンの発現と分泌を掬えることを明らかにした。母胎カロリー不足による下垂体ウロコルチン2の変化についても今後検討を加える予定である。
|
Research Products
(3 results)