2008 Fiscal Year Annual Research Report
生殖能力のエイジング-卵胞における活性酸素と抗酸化物質の役割について-
Project/Area Number |
19791174
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
富山 僚子 Nippon Medical School, 医学部, 医療技術員 (40409214)
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Keywords | Cu, Zn-sueroxide dismutase / ヘキサノイルリジン / vascular endothelial growth factor / 卵胞発育 / 酸化ストレス / 抗酸化能 / 体外受精 |
Research Abstract |
卵巣内における過剰な酸化ストレスは卵子や顆粒膜細胞を傷害し、良好な卵胞発育を阻害するが、微量の活性酸素は卵胞壁を被薄化する役割を有し排卵に必須であるなどの一面も有している。本研究では卵胞液中のROSおよび抗酸化物質を測定し、卵胞発育・卵子形成過程におけるROSと抗酸化物質の役割と正常なバランスを解明することを目的とした。 当施設にて体外受精を施行される患者より同意を得、卵子採取の際に同時に吸引採取される卵胞液を用い、検討を行った。酸化ストレスマーカーとして、脂質過酸化物であるヘキサノイルリジン(HEL)、抗酸化酵素力のマーカーにCu, Zn-superoxide dismutase(Ci, Zn-SOD)、卵巣局所の酸素環境を反映するvascular endothelial growth factor(VEGF)をそれぞれELISA法により測定し、卵胞発育における酸化・抗酸化のバランス、ならびに体外受精後の転帰との関連について検討した。 その結果、妊娠検体において、Cu, Zn-SOD濃度とHEL濃度は相関を示し、VEGF濃度はHEL濃度の上昇に伴い減少する傾向を示した。つまり着床に至る良質の卵子が発育する環境は、良好な酸素供給を受けていること、また、酸化-抗酸化バランスが良好であることが示唆された。一方で、妊娠不成立に帰結した卵子の採取された卵巣は、発育卵胞数は少数であるにも関わらず、個々の卵胞あたりのVEGF産生は増加しており、低酸素がVEGF発現の強力な刺激因子であることからも、卵巣内の低酸素環境が卵子の質低下の一要因であると考えられた。
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Research Products
(4 results)