2008 Fiscal Year Annual Research Report
胎児ー母体間免疫におけるトリプトファンの役割、およびその作用機構の解明
Project/Area Number |
19791177
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
岡本 威明 Kawasaki Medical School, 医学部, 助教 (20398431)
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Keywords | トリプトファン / インドールアミン酸素添加素 / トリプトファン誘導体 / 静電ポテンシャル / 構造活性相関 / インドール環 |
Research Abstract |
IFN-γ刺激に対して感受性が高く、強力なインドールアミン酸素添加酵素(IDO)の発現誘導が認められる細胞株として、ヒト類表皮ガン細胞株A431が報告されている。近年我々は、A431細胞においてトリプトファンがIFN-γ誘導性IDO発現を転写レベルで促進することを報告してきた。本研究では、A431細胞を用いて約10種のトリプトファンアナログの構造とIFN-γ誘導性IDOmRNA発現との相関について検討した。トリプトファンアナログとして、1-メチル-L-トリプトファン、6-ニトロ-L-トリプトファン、5-ハイドロキシ-L-トリプトファン等を用いた。IDOmRNA発現レベルの解析は、real time RT-PCR法を用いた。また、各種トリプトファンアナログにおいて、非経験的な分子軌道計算により分子構造と電子状態を算出した。得られた電子状態に基づき全電子密度表面を発生させ、その上に3次元静電ポテンシャルを写像させた。計算レベルにはHF/3-21Gレベル、計算プログラムにはGaussian03、結果の可視化にはGauss Viewを利用した。その結果、L-トリプトファンは、A431細胞におけるIFN-γ誘導性IDO発現を、約2倍に増強し、他のアミノ酸であるメチオニンやフェニルアラニンには増強効果は認められなかった。また、6-ニトロ-L-トリプトファン刺激では、トリプトファンよりも強い約3倍のIDO発現増強効果が認められ、1-メチル-L-トリプトファンや、インドールには、約1.5倍の弱いIDO発現増強効果が認められた。さらに、インドール環表面の静電ポテンシャルを検討したところ、ニトロ基の修飾により非修飾とくらべて正電荷に偏ることが明らかとなった。各種トリプトファン誘導体によるIDO発現調節活性とインドール環表面の静電ポテンシャルとは強い正の相関を示し、インドール環における各種官能基による修飾が認識分子との親和性・安定性に影響を与えているのではないかと推察された。
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Research Products
(4 results)