2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖プローブによる卵子評価の開発と生殖医療への応用
Project/Area Number |
19791179
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
宮本 潔子 National Research Institute for Child Health and Development, 生殖・細胞医療研究部, 共同研究員 (20415590)
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Keywords | 糖鎖 / ケクチン / 卵子 / 精子 |
Research Abstract |
加齢による卵巣機能の低下は、生理的な環境変化によって卵子の有する受精能力が障害を受けた結果として生じる可能性がある。そこで、損傷を受けた卵子の機能を回復させるための培養法の開発が必要である。しかし、卵子の受精能力に関する科学的な知見が不足しているため、培養方法や培養液の組成が十分に検証できないのが現状である。そこで、本研究では、卵子のもつ受精能力に関する基礎的研究を合わせて研究開発を行った。当研究部では、すでにヒト幹細胞に対して行ったレクチン・抗糖鎖抗体による網羅的解析と、これらマーカーを用いて分画した細胞集団の細胞生物学的解析の結果から、各細胞種・分化度別の細胞表面糖鎖プロファイルを作成した経験がある。本研究では、糖鎖プローブによる卵子評価の開発と生殖医療への応用を目指した研究を行い、マウス精子と卵子の膜融合に必須な膜構造体としてエキソソームを見出し、エキソソームの主要な構成成分として糖脂質GM3が含まれていることを明らかにした(PNAS, 105 : 12921-6, 2008)。また、単独で配偶子に特異的に結合するレクチンを特定することが目指した研究を行った。ヒト幹細胞を用いた経験から、複数のレクチンを用いた場合の方がより正確に細胞の分化能を特定することが可能である。そこで、複数のレクチンのマッピング情報による標準化を行った。現在までに得られているヒト幹細胞のデータを基にして行った解析では、医生物学的特性と糖鎖との連関が明確になっているため、レクチン認識による細胞糖鎖に関する定量データを主成分解析およびクラスター解析を行うことにより、受精能との相関関係を推定することを試みた。結果して、受精能との有意な関連を示すようなレクチンを見いだすことはできなかったものの、卵子では特定の糖鎖の局在が体細胞と全くことなることを明らかにした。
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