2008 Fiscal Year Annual Research Report
頭頚部癌の治療標的としてのthymidylate synthaseの機能解明
Project/Area Number |
19791182
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
丸屋 信一郎 International University of Health and Welfare, 大学病院, 講師 (90396408)
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Keywords | thymidilate synthase / 頭頸部癌 / 腺様嚢胞癌 / siRNA / アポトーシス |
Research Abstract |
Thymidylate synthaae(TS)は癌細胞増殖に重要な役割を果たし、5-FUなどの抗癌剤の標的分子の1つとして知られているが、頭頸部癌、殊に唾液腺癌は発生頻度が少なく、病理組織系、臨床的特長が非常になため、有効な化学療法が確立されておらず、TSの治療標的としての役割についても十分には研究されていない。われわれは唾液腺腺様嚢胞癌由来のACC3細胞にTS発現をKnock downするためsiRNAを導入し、その抗腫瘍効果を検討した。TSを標的としたsiRNAは有意に癌細胞の増殖を抑制し、p21などの癌抑制遺伝子やactive caspase-3の発現上昇がウェスタンブロット法で確認され、TSの抑制はアポトーシスを誘導することがACC3細胞において明らかとなった。siRNAによるTSのsilenceが細胞周期にどのような影響を及ぼすかflow ctometry法を用いて検討したところ、S期の細胞の有意な増加が認められた。これは従来の5-FUにおける検討でも、導入初期にS期の増加が起こることが報告されており、TSの抑制はS期に特異的に作用し、増殖制作用を示すことが示唆された。その抗腫瘍効果はマウスを用いたin vivoの状態でも確認された。ヌードマウスにACC3細胞を移植し、腫瘍を形成し、アテロコラーゲンを配合したsiRNAを直接腫瘍に注射した。腫瘍の大きさはコントロールに比してTs siRNA導入群で小さく、ホルマリン固定した切片上でTUNE法を行ったところ、TS siRNA群で陽性細胞の有意な増加がみられ、アポトーシスが導入されたことが明らかとなった。以上のことからTSは唾液腺癌を含めた頭頸部癌で有用な治療標的になり得ることが確認された。
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