2008 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚系のグルタミン酸興奮毒性についてのパッチクランプ法による検討
Project/Area Number |
19791196
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鷹合 秀輝 Tokyo Medical and Dental University, 医学部・附属病院, 医員 (70401354)
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Keywords | グルダミン酸興奮毒性 / NMDA受容体 / 電位依存性カルシウムチャネル / Gタンパク質 / ナトリウム / 聴覚系 / シナプス / パッチクランプ |
Research Abstract |
本研究は聴覚系のグルタミン酸興奮毒性についてパッチクランプ法により検討するものである。前年度までの研究により、台形体(Calyx of Heldシナプス)の神経終末端に存在するNMDA受容体が電位依存性カルシウムチャネルを抑制し、グルタミン酸作動性のシナプス伝達を制御することを確認した。本年度はメカニズムの解明を更に進め、NMDA受容体から流入したNa^+により神経終末端内の三量体Gタンパク質が活性化し、これに因って電位依存性カルシウムチャネルが抑制されることを明らかにし得た。 聴覚中枢の台形体のシナプス前部には代謝型グルタミン酸受容体とAMPA受容体が存在し、Gタンパク質依存性に電位依存性カルシウムチャネルを抑制することが知られていたが、本研究によりNMDA受容体によってもGタンパク質依存性に電位依存性カルシウムチャネルが抑制されることが明らかとなった。何らかの原因によって聴覚系のニューロンが高濃度のグルタミン酸に晒されると、これら3つのグルタミン酸受容体が働きグルタミン酸興奮毒性を回避すべく機能する可能性が示唆された。現在、本研究内容を原著論文として投稿中である。 一方、蝸牛内有毛細胞のイオンチャネル型グルタミン酸受容体に関する研究については、準備段階として蝸牛頂回転から内有毛細胞を含むスライス標本を作製することは可能となり、研究開始時期として聴覚中枢のNMDA受容体に関する研究が終了した後、すなわち平成21年度を予定していた。しかしながら、研究代表者が平成21年3月よりドイツ・ゲッティンゲン大学に留学することとなったため実施し得なくなった。
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