2009 Fiscal Year Annual Research Report
RNA干渉を利用したアレルギー性鼻炎の新しい治療薬開発の基礎的研究
Project/Area Number |
19791200
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
遠藤 周一郎 University of Yamanashi, 医学部附属病院, 助教 (20324204)
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Keywords | スギ花粉症 / RNA干渉 / Cry j 1 / 制御性T細胞 / Th2細胞 |
Research Abstract |
スギ花粉症患者の末梢血から単核球を分離し、Cry j 1タンパクにて刺激して作成したCry j 1特異的T cell lineの多くはIL-5などのTh2サイトカインを有意に産生した。この特異的反応をsiRNAを用いて制御できないかについて検討を行った。Preliminaryな実験として安定して増える癌細胞株からのIL-6やTGF-βなどのサイトカイン産生はsiRNAを用いて産生の低下をきたすことができたが、T細胞株におけるCry j 1特異的なIL-5産生の有意な低下には至らなかった。 一方、制御性T細胞のCry j 1特異的アレルギー反応に対する影響についての検討においてもsiRNAによる制御性T細胞の機能抑制を試みた。まず制御性T細胞除去によってCry j 1特異的反応がどのように変化するかを調べたところ、増殖能とTh2反応(IL-5産生)は変化しなかったがTh1反応(IFN-γ産生)は増強した。Tetanus toxoidに対する特異的反応も同様に増殖能/Th2反応は変わらずTh1反応のみが増強したことより、制御性T細胞のT細胞応答に及ぼす影響はCry j 1特異的とは考えにくく、むしろTh1反応とTh2反応で制御性T細胞に対する感受性が異なることが示唆された。また、制御性T細胞除去によりCry j 1特異的IL-10産生が低下したことより、CD4+CD25+制御性T細胞の中にCry j 1特異的IL-10産生細胞が存在することが示唆され、実際にそのような細胞の存在をELISPOTにて同定できた。これらの実験系を基に制御性T細胞の機能をanti-GITRの中和抗体及びFoxp3 siRNAを用いて抑制しようと試みたところ、中和抗体では制御性T細胞除去と同様の効果を認めたが、siRNAではアレルギー反応の増強を認めるには至らなかった。siRNAによるT細胞の機能抑制には、更なる条件の検討が必要と思われる。
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