2007 Fiscal Year Annual Research Report
上気道慢性炎症でのリモデリングにおけるTGFβ1の役割
Project/Area Number |
19791205
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
石永 一 Mie University, 大学院・医学系研究科, 助教 (50335121)
|
Keywords | TGFbetal / ムチン遺伝子 / 上気道慢性炎症疾患 / NF-kB / 上気道リモデリング / コラーゲン遺伝子 |
Research Abstract |
上気道慢性炎症疾患におけるTGFbeta1の繊維化や粘液産生に対する役割に焦点をあて、上気道のリモデリングのメカニズム及びその制御について検討するのが本研究のテーマであり、本年度は当初の計画とはやや異なるが、まず最初にヒト上皮細胞株を用いたin vitroの実験系を用いて、TGFbeta1のムチン遺伝子発現における影響を調べた。実験方法としては、ルシフェラーゼアッセイ法ならびにPCR法を用いた。なお、コラーゲン遺伝子発現に関してはまだルシフェラーゼベクターができておらず行っていない。最初にTGFbeta1単独刺激でのムチン遺伝子発現の亢進がみられるかどうか調べたが、今回の結果からは有意な発現亢進は認められなかった。そこでIL-1betaとTGFbeta1の共刺激を行ったところ、ムチン遺伝子の一つであるMUC2遺伝子は相乗的に発現亢進することが判明した。しかしながらMUC5AC遺伝子に関しては当初の予想に反し、TGFbeta1により抑制される傾向が認められた。TGFbeta1はNF-kBを相乗的に活性化させることはすでに判明しており、MUC2遺伝子の発現はNF-kBを介した経路で増強されたと考えられたが、MUC5AC遺伝子発現は別の転写因子が大きく影響しているのではないかと推測された。今後はさらにコラーゲン遺伝子発現に対するTGFbeta1の影響を検討するとともに本年行えなかったヒト検体を用いてTGFbeta1の発現量の検討や炎症モデルラットの作成ならびに実験へと進んで行きたい。
|