2008 Fiscal Year Annual Research Report
先天性・後天性高度難聴者の語音処理における聴皮質の変化
Project/Area Number |
19791206
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平海 晴一 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (10374167)
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Keywords | 発声関連磁場 / 脳磁場計測 / 難聴 |
Research Abstract |
昨年度に正常被験者で決定した発声関連磁場(vocalization-related cortical field ; VRCF)計測条件を元に、難聴患者における計測を行った。難聴患者における条件の設定には正常被験者とは異なった様々な問題点があり、国内国外の研究者から貴重なアドバイスを頂戴し、下記の解決方法を得ることが出来た。 (1) 発声する音声について 発声に際して、難聴患者は正常被験者に比べて体動が大きく、それに伴う筋電図の混入を強く認めた。このため、最も筋電図の混入の少ない/u/を中心に単一母音を発声するパラダイムに変更した。 (2) 反応の解析について 得られた加算平均波形において、右後頭葉に発声後100-300msで大きな反応を認めた。反応の方向は被験者によって異なっていた。この反応に関しては、他研究者とも検討した結果、視覚誘発磁場の可能性が高いと考えている。本研究では、発声の大きさを一定にするために、過去の報告に従い被験者前方に設置したプロジェクターに音声波形をリアルタイムで向かって左から右に流れるように表示した(Gunji et al., 2001)。視覚刺激が視野左側から入力されるため、右半球視覚野で視覚誘発磁場が生じたと考えられる。過去の報告では全頭型脳磁場計測計を使用していなかったためこの成分を発見できなかった可能性が在る。この成分は聴覚野の反応よりも大きく、また部位的にもやや近いため、完全に除去・分離することは困難であった。この原因としては、被験者の視覚野の反応が亢進し、聴覚野の反応が低下している可能性がある。そのため、あらかじめ被験者に一定の音圧で発声する訓練を行い、視覚による音声フィードバックをなくすことにより、VRCF計測を可能とした。この訓練は、発声する音声を少なくしたことにより可能となった。
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