2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791210
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
寺岡 正人 Ehime University, 医学部・附属病院, 医員 (40444749)
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Keywords | 顔面神経 / 表情筋 / 遺伝子発現 / リアルタイムPCR / 診断マーカー / in situ hybridization法 |
Research Abstract |
ベル麻痺をはじめとした顔面神経麻痺の主病変は側頭骨内にあり、主病変部位での障害程度の差を末梢で診断する方法は、電気生理学的にも分子生物学的にも確立されていないのが現状である。そこでラットを用い、障害程度の異なる神経変性モデルを作成し、神経終末を含む顔面表情筋に発現する遺伝子を解析することで、障害程度の差の診断が可能か検討を行った。ウィスター系ラットを深麻酔後、顔面神経本幹を露出し、切断と挫滅という2種類の障害モデルを作成した。1〜4週間後に表情筋を採取後、total RNAを抽出し、マイクロアレイにより全RNAの発現を解析した。障害程度により表情筋の遺伝子発現に様々な変化がみられた。さらに早期に発現する遺伝子を選択し、リアルタイムPGR法を用いてRNA発現量の定量的解析を行った。Myogenin、Vesicle-associated membrane protein 2、Insulin-like growth factor binding protein 6の3種のRNAを選択し、その発現を定量化した。いずれも、切断群での発現増加は挫滅群よりも著しく、7、14日目において統計学的に有意差を認めた。さらにin situ hybridization法を用いて顔面表情筋におけるRNA発現の局在を検討したところ、処置後7日目の切断群でRNA発現増加は顕著であり、表情筋の筋線維辺縁に強い放射線活性がみられ、筋衛星細胞での発現増加が示唆された。 本研究は顔面神経に「切断と挫滅」という2種類障害を加え、その支配筋である顔面表情筋に発現する遺伝子の変化を解析した。その結果、処置後1週目の電気生理検査でいずれも高度障害と評価されたものの、両者の遺伝子発現には大きな差異のあることが分かった。麻痺の予後は挫滅群の方が切断群よりも有意に良好であることから、遺伝子解析は予後診断に応用できる可能性がある。
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Research Products
(2 results)