2007 Fiscal Year Annual Research Report
IGF-1の下咽頭収縮筋内投与による加齢に伴う嚥下機能低下の予防に関する研究
Project/Area Number |
19791211
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田口 亜紀 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 助教 (00380238)
|
Keywords | 下咽頭収縮筋 / 加齢 / 神経栄養因子 / 嚥下機能低下予防 |
Research Abstract |
加齢群として24ヶ月齢のウィスター系ラットを用いた。 1)下咽頭收縮筋神経下装置の観察:走査型電子顕微鏡を用いて神経下装置の観察を行った。1次シナプス間隙は、甲状咽頭筋の成熟群では迷路型が76.3%と多数を占めたのに対し、加齢群では陥凹型が72.5%を占め、構成比率が逆転した。輪状咽頭筋の成熟群では陥凹型が68.4%と優位であり、加齢群においても陥凹が多くを占め、成熟群と加齢群で構成比率に有意差はなかった。両筋の成熟群・加齢群の陥凹型では、浅い1次シナプス間隙と、少数で浅い2次シナプス間隙を有する神経下装置が、特に輪状咽頭筋にて観察された。このような神経下装置の筋線維径は小さく、神径再生過程にある未熟な神経下装置および筋線維と考えられた。2)下咽頭收縮筋の組織学的検討:myosin ATPase染色を行って、甲状咽頭筋、輪状咽頭筋の筋線維を分類し、各筋ごとに筋線維タイプ構成比を算出し、成熟群と加齢群での構成比の違いを検討した。甲状咽頭筋および輪伏咽頭筋ともに筋線維はタイプI、Iib、Iic線維に分類された。甲状咽頭筋の成熟群ではタイプIib線維が大半を占め、タイプI線維は少数であった。タイプIic線維はほとんど認めなかった。加齢群ではタイプIib線維の割合が成熟群より減少し、タイプIic線維が3.1%と増加した。 輪状咽頭筋の成熟群でもタイプIIb線維が約半分を占め優位であったが、タイプI線維の割合は甲状咽頭筋よりも高かった。加齢群ではタイプIIb線維が減少し、タイプI線維が過半数を占めたが、加齢群による筋線維タイプ構成の変化は甲状咽頭筋より少なかった。タイプIIc線維は成熟群・加齢群ともに6.5%でいずれも甲状咽頭筋より多かった。 3)神経栄養因子投与モデルの作製:ゼラチンハイドロゲルによるDDSを用いた神経栄養因子の局所投与モデルを現在作成中である。
|