2009 Fiscal Year Annual Research Report
気道領域におけるヒト組織の培養および再生に関する研究
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19791220
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
横山 秀二 Fukushima Medical University, 医学部, 助教 (80381408)
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Keywords | 組織再生 / 気道 / 脂肪組織由来幹細胞 / 脂肪細胞 / 軟骨細胞 |
Research Abstract |
【研究目的】耳鼻咽喉科領域のうち気道領域において、腫瘍や外傷、奇形により変形・欠損を生じると、生命に関与する重大な障害をきたす。さらに患者自身の社会生活や精神面に計り知れない影響を及ぼし、強いてはQOLの低下を招く原因となる。機能的な面では、発声、嚥下、呼吸といった日常生活における重要な機能に多大な障害を引き起こす。それゆえ、気道領域の再生は重要な課題であり、気道領域での変形・欠損部位を自己組織で再建すべく、基礎研究としてヒト組織の細胞を確実に培養し、生着・増殖可能な技術を見いだす。 【用いる材料】気道領域の手術で摘出・破棄されていた軟骨・上皮・結合織、筋肉、脂肪織を用いる。 【細胞単離および培養方法】気道領域の手術で摘出された皮下脂肪組織を用い、分離・培養し得られた脂肪組織由来幹細胞(ASCs)に対してCell analyzerを用い細胞表面マーカーの解析を行った。つづいて、in vitroにおいて、コンフェルトに達したASCsを、コントロール群・脂肪細胞分化誘導群・軟骨細胞分化誘導群の3群に分け、それぞれに適した分化誘導培地を添加し、各群とも誘導前、誘導後14日の細胞について組織学的に比較検討した。 【結果】手術に伴い摘出された気道領域のヒト皮下脂肪組織から分離・培養して得られたASCsを、Cell analyzerを用いASCsの細胞表面マーカーの解析を行った結果、造血幹細胞マーカーであるCD34、CD45に対してはほぼ陰性であり、間葉系幹細胞マーカーであるCD105、CD90、CD166、CD29は高率で陽性であった。また、ASCsを誘導培地にて分化させた結果、オイルレッド0染色にて脂肪組織様細胞が、アルシアンブルー染色で軟骨組織様細胞が確認された。 【考察・今後の展望】本研究において、気道領域の脂肪細胞から得られたヒトASCsは問葉系幹細胞の性格に類似することが確認され、また、ヒトASCsの分化誘導により脂肪細胞および軟骨細胞への分化の可能性が示唆された。今後、ヒトASCsの安定した分化誘導を目指し、誘導細胞の動物モデルへの移植を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)