Research Abstract |
(1)肺炎球菌野生株を用いたチンチラ中耳炎の作成 チンチラの中耳蜂巣に,肺炎球菌株血清型2型,4型,6型,19型,14型,23型を接種し,中耳炎の形成過程を観察するとともに,血清型による肺炎球菌感染の検討をおこなった。このうち血清型6型,19型が安定した感染性を示し,肺炎球菌の接種2日後には鼓膜発赤,中耳貯留液を認めた。貯留液中に生菌を認め,実験的中耳炎を作成できた。また菌量の設定では60,20,7CFUの肺炎球菌を接種した結果,生存曲線および貯留液中生菌数においては,この菌量の範囲では接種菌量の影響は認められず,貯留液中生菌数も感染2日後でいずれも10の6乗から7乗であり安定して中耳炎モデルを作成できた。 (2)インフルエンザ菌野生株を用いたチンチラ中耳炎の作成 チンチラの中耳蜂巣に,中耳炎起炎菌として最も一般的な無莢膜型インフルエンザ野生株を接種し,中耳炎の形成過程を観察した。感染3日後より鼓膜の発赤,中耳貯留液を認め,貯留液中に生菌を認めた。菌量設定では10の6乗から7乗の生菌投与で貯留液中生菌数も感染5日後でいずれも10の6乗から7乗であり安定した中耳炎の発症を確認した。また固体によってはバイオフィルムと思われるゲル状物質の生成を認め,今後共焦点レーザー顕微鏡を用いてこの物質の確認も行い,抗菌薬投与の効果に及ぼす影響も検討予定である。 現在DDS用の担体としては除法ゲル製剤,シリコン除放製剤,パウダー製剤を作成しており,今後今までに確立できたチンチラ中耳炎モデルにDDSを応用した抗菌薬を実際に投与することによってその効果を確認する予定である
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