2008 Fiscal Year Annual Research Report
難治性中耳炎および副鼻腔炎に対するドラッグデリバリーシステムを用いた治療法の開発
Project/Area Number |
19791224
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
鈴本 正樹 Wakayama Medical University, 医学部, 助教 (20382327)
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Keywords | 急性中耳炎 / DDS / 肺炎球菌 / インフルエンザ菌 / 副鼻腔炎 |
Research Abstract |
カルバペネム糸抗菌薬であるメロペネムを充填したシリコン徐放製剤を作成し、チンチラを用いた実験的中耳炎モデルにて検討した。無莢膜型インフエンザ菌をチンチラ蜂巣に1-3×10°CFU接種し急性中耳炎の発症を確認した後に、メロペネムを(1)メロペネム・シリコン徐放製剤、(2)メロペネム溶液の中耳腔内投与(点耳)、(3)腹腔内接種(全身投与)にて投与し、中耳腔内のインフルエンザ菌数を経時的に検討した。感染のみ行った対照群や全身投与群では、ほとんどのチンチラで約1×10°CFUのインフルエンザ菌が検出された。一方、中耳腔内へメロペネム溶液の投写(点耳群)では、インフルエンザ菌数はわずかに減少していたが、個体差が大きく認められた。メロペネム・シリコン徐放製剤群では、治療開始6日後にはすべてのチンチラでインフルエンザ菌が除菌されていた。シリコン徐放製剤と同様に、インフルエンザ菌によるチンチラ実験的中耳炎モデルに対するレボフロキサシン(LVFX)ゲル徐放製剤を作成し有効性についての検討を行った。無莢膜型インフエンザ菌1×10^6CFUをチンチラ蜂巣内に接種し,急性中耳炎の形成を確認し、(1)LVFXゲル徐放製剤、(2)LVFXの腹腔内投与(全身投与)、(3)中耳腔内投与(点耳投与)を行った。LVFX全身投与群および点耳群では、1日目まで1×10^5-1×10^7CFUのインフルエンザ菌が検出され、著明な殺菌効果は認められなかった。一方、LVFXゲル徐放製剤注入群では3例中2個体で5日目にはインフルエンザ菌が除菌された。以上のことから、換気チューブは殺菌と含気化という両方の効果が期待できる方法として有効であると考えられる。ゲル徐放製剤は粘性や粘膜への付着性を高めることにより、さらに安定した徐放製剤の滞留付着と薬剤の放出が可能な方法であると考えられる。
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