2008 Fiscal Year Annual Research Report
PspAファミリー解析と肺炎球菌に対する新しいワクチンの開発
Project/Area Number |
19791225
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
酒井 章博 Wakayama Medical University, 医学部, 博士研究員 (50423950)
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Keywords | 肺炎球菌 / ワクチン / 急性中耳炎 / 髄膜炎 |
Research Abstract |
本研究は急性中耳炎における三大起因菌のひとつである肺炎球菌の表面抗原であるPspAによる肺炎球菌ワクチン開発を目的としたものである。近年肺炎球菌のペニシリン系抗生物質に対する耐性の獲得が臨床上問題になっており、ワクチンによる感染予防には大きな期待が持てる。 BALB/cマウス(4週齢、メス)にコレラトキシンをアジュバントとしてPspAを経鼻的に2回3週間免疫を行った。最終免疫後免疫されたメスマウスはオスマウスと交配して新生児マウスを得た。経鼻免疫後の母マウスおよび新生児マウスへのPspA特異的抗体の誘導を検討するとともに、新生児マウス生後7日目に肺炎球菌TIGR4(血清型4型)を経鼻接種させ、鼻咽腔定着の予防効果の検討を行った。 結果 : PspA母体経鼻免疫により、母マウス母乳および結成、仔マウスの血清中に抗PspA特異的IgG4が誘導された。また、PspA母体経鼻免疫群の仔マウスは、コントロール群に比べて鼻腔への肺炎球菌のユロニー形成は有意に低下していた。 肺炎球菌感染症は2歳未満の乳幼児期に好発するため、従来の莢膜多糖体抗原を用いたワクチンでは効果的な免疫応答が誘導されにくいのが問題である。PspAは肺炎球菌株に共通して存在する蛋白抗原であり、次世代の肺炎球菌ワクチンとして期待されている。ワクチンの母体経鼻接種により免疫能の未熟な乳幼児期に特異的免疫応答が誘導可能であり、肺炎球菌感染症の予防として期待できる。
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Research Products
(2 results)