2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791228
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
久岡 朋子 Wakayama Medical University, 医学部, 助教 (00398463)
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Keywords | 内耳 / 蝸牛 / サイトカイン |
Research Abstract |
発生過程及び生後のマウス内耳におけるTROY蛋白発現細胞の同定 TROYに対する抗体を用いて、胎生中期(胎生13.5日齢 : E13-5)から後期(E15.5、E17.5)、及び生後(生後0日齢 : P0、P7、P10、P14)の蝸牛における免疫染色を行った。その結果、E13.5、E15.5、E17.5、PO、及びP7において、蝸牛のgreater epithehal ridge(GER)にTROYの発現が強く認められた。-方、P10以降になるとGERは退縮して認められず、TROYの発現はinner sulucus cell(ISC)にのみ認められた。蝸牛上皮細胞は、E17.5には1列の内有毛細胞、3列の外有毛細胞、及び支持細胞に分化し、それらの細胞が組織学的に判別可能となるが、TROYは内有毛細胞、外有毛細胞には発現が認められず、E13.5、E15.5で認められたGERでの発現が持続していた。実際、内有毛細胞、外有毛細胞のマーカーであるcalbindinとTROYとの蛍光2重免疫染色を行った結果、E17.5からP14にかけて両者の共存は認められなかった。さらに支持細胞はp75やS100を発現していることから、これらとTROYに対する抗体を用いて蛍光2重免疫染色を行った結果、共存は認められなかった。したがって、TROYは胎生後期から生後7日にかけて、分化した内有毛細胞、外有毛細胞、支持細胞には発現を認めず、内有毛細胞とその支持細胞の前駆細胞が存在すると考えられているGERに特異的に発現し、それらの前駆細胞の増殖や分化に関与している可能性が考えられる。また、発生過程から生後7日にかけて認められるGERはその後退縮し、1層のISCに置き換わることが知られており、生後7日以降は、TROYがISCに発現していることから、TROYのシグナルがISCへの分化や生存等に関与している可能性が考えられる。
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