2008 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス評価、遺伝子多型解析の耳鼻咽喉科テーラーメイド医療への応用
Project/Area Number |
19791233
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
五島 史行 Keio University, 医学部, 講師 (80286567)
|
Keywords | 遺伝子多型解析 / ストレス / 耳鼻咽喉科 / テーラーメイド医療 |
Research Abstract |
〈背景〉近年、社会が多様化し複雑化する中でストレス疾患が増加傾向にある。これらの患者は訴えが強いが器質的異常が認められないため"原因不明"とされ十分な治療を受けていない。しかしなぜストレスが患者によって異なった身体症状を引き起こすかについては知られていない 〈目的〉 1) 患者の遺伝的な素因がストレスによる患者固有の身体反応を出現させ、個々により治療効果が異なるかどうかを検討すること。 2) 耳鼻咽喉科ストレス疾患患者に対する薬物療法として抗うつ薬(SSRI ; セロトニン再取り込み阻害薬)や非薬物治療としての認知行動療法、自律訓練法の有用性を検討すること。 3) 外来患者を対象に耳鼻咽喉科心身症の割合を明らかにすること。 〈方法〉 1) 耳鼻咽喉科外来患者を対象に心身症患者の割合を統計学的な検討を行う。またこれらの患者に対して心理社会的な背景、ストレスについて評価を行う。 2) これらの患者に抗うつ薬や非薬物治療としての認知行動療法、自律訓練法を行いその治療効果について自覚的、他覚的尺度を用いて評価する。 〈研究成果〉 耳鼻咽喉科外来における心身症の割合は約20%であった。めまい、耳鳴り、咽喉頭異常感症を主訴とするものが多かった。薬物治療として抗うつ薬であるSSRIは約60%の症例で有効であった。非薬物治療の自律訓練法も同様の有効性を示した。難治性の心身症例に対して特に有効であらた。自律訓練法の適応によって従来の薬物治療が奏功しなかった症例も自覚症状が改善した。また非薬物治療の導入によって投薬量が減少した症例もあった。 今後耳鼻咽喉科臨床に多いてストレス評価、非薬物治療のさらなる普及のためには症例の選択、効率的なストレス、心理社会的評価法の開発、客観的評価法の開発が必須である。
|