2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症と大理石骨病モデルマウスの耳小骨リモデリング異常による聴覚障害の検討
Project/Area Number |
19791234
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
神崎 晶 Keio University, 医学部, 助教 (50286556)
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Keywords | 聴覚 / 耳小骨 / 骨代謝 |
Research Abstract |
耳小骨は人体において最も小さい骨であり、機能的には中耳において音を伝導させる上で重要である。一般的に骨はリモデリングという機構をもち、常に骨を壊して再構築することを繰り返しているが、耳小骨におけるリモデリングについては報告がなく、リモデリングの異常がどんな病態をひきおこすかも不明である。そこで、われわれは、破骨細胞が増加しているOsteoprotegerinpノックアウト(以下OpgKOと略す)マウスは骨粗鬆症モデルマウスとして知られているが進行性難聴を呈していること、その原因としてアブミ骨と内耳骨包の固着が存在することから耳硬化症モデルとして考えられることを発見した。このOpgKOマウスに対して、9週間かけて骨粗鬆症薬を腹腔内注射で投与したところ、ツチ骨柄の狭小化やアブミ骨と内耳骨包の固着を予防し、機能的にも難聴の進行を予防することができた。また、全身の骨の密度が改善されていた。本研究に用いた骨粗鬆症薬がすでに臨床応用されている薬剤であることから、本実験結果に基づいて骨粗髪症を有する耳硬化症患者に対して骨粗鬆症薬を投与する臨床研究を開始している。一方、Fos, RANKLなどの破骨細胞を分化させる因子が欠損すると破骨細胞が減少することが知られており、大理石病モデルと考えられる。FosKOマウス、RANKLKOマウスとも共通して耳小骨の骨径が太くなり、難聴があることを見いだした。この結果から、破骨細胞数が過剰でもあるいは、過小でも難聴をきたすことが解明された。耳小骨の骨リモデリングという概念が聴力機能にも重要であると結論づけた。
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Research Products
(20 results)