2008 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性鼻炎、および慢性副鼻腔炎における神経ペプチドの発現に関する研究
Project/Area Number |
19791244
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
都築 建三 Hyogo College of Medicine, 医学部, 助教 (50441308)
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / 慢性副鼻腔炎 / 嗅覚障害 / 鼻腔内ポリープ / 内視鏡下鼻副鼻腔手術 / 下鼻甲介手術 / 神経ペプチド / 気管支喘息 |
Research Abstract |
平成19〜20年度の2年間に経験した鼻閉に対する外来(日帰り)での下鼻甲介手術は、253例であった。その内訳は、アレルギー性鼻炎201例(通年性42例、花粉症30例、混合性129例)、血管運動性鼻炎21例、肥厚性鼻炎31例であった。また、入院での内視鏡下副鼻腔手術(ESS ; endoscopic sinus surgery)を行った慢性副鼻腔炎は、331例あった。これらの症例で、血中好酸球の割合(%)、血清免疫グロブリンtotal IgE値(RIST, IU/ml)、個々のアレルゲンに対するIgE値(RAST, UA/ml)を測定した。術前後の鼻腔内所見の変化、自覚症状の改善度について、パーソナル・コンピューター(PC)にデータを入力して解析した。慢性副鼻腔炎症例は、ESS術中にデジタル・ビデオ(mini DV)で記録することで、嗅裂粘膜などの鼻内所見を、正常、ポリープ状、浮腫状に分けて評価できた。鼻腔ポリープや副鼻腔粘膜を可能な限り採取して、病理組織診断にて好酸球の浸潤の程度を判定した。鼻・副鼻腔粘膜における神経ペプチドの発現に関して現在も研究は進行中である。今回の主な研究テーマの一つである嗅覚障害を伴った慢性副鼻腔炎に関する研究については、手術症例における嗅力の術前後の変化ついて研究を進めた。中でも、筆者は平成19年度から日本鼻科学会・嗅覚検査検討委員会の委員であり、この委員会で提唱された「日常のにおいアンケート」に関する研究を遂行することは、本研究の重要な課題の一つであった。この「アンケート」をT&Tオルファクトメーターやアリナミン検査などの嗅覚検査の結果と比較し、その有意な相関が証明できた。この「アンケート」が嗅力評価の補助手段となり得る可能が示唆できる結果が得られた。その成果を、国内学会(日本鼻科学会、日本味と匂学会)のシンポジスト、パネリストとして発表して、それぞれの学会誌に掲載された。さらに、診断に苦慮するWegener granulomatoslsの症例を米国ワシントンD. C. で開催された国際学会(AAO-HNSF)で発表し、研究成果は国際学術誌(Auris Nasus Larynx)に掲載された。
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