2008 Fiscal Year Annual Research Report
インドメタシンによる鼻茸縮小機序の解明とラミニンの関与
Project/Area Number |
19791248
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
宇高 毅 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 非常勤医師 (10369069)
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Keywords | 鼻茸 / ラミニンγ1 / 細胞外マトリックス / 基底膜 / 光顕免疫染色法 / PCR / Western Blot |
Research Abstract |
【目的】細胞外マトリックスの1種であるラミニン蛋白が鼻茸の成因に重要な役割を演じている可能性を明らかにすること。またこの結果をもとに、将来的にインドメタシンの改良によってこれらの薬剤が鼻茸の治療に応用できる可能性を明らかにすること。【材料と方法】1. 昨年度に引き続き、光顕免疫組織化学染色法を用いて、(1)正常鼻粘膜、(2)通常副鼻腔炎粘膜(鼻茸なし)、(3)アスピリン耐性者の鼻茸粘膜、(4)アスピリン非耐性者の鼻茸粘膜(特に基底膜)におけるlamininγ1およびそれ以外のサブユニットの局在および発現について比較検討を行なった。2. PCR法を用いて上記の各群におけるlamininγ1の発現について比較検討した。3. Western blot法を用いて各組織間のlamininγ1のタンパクレベルでの発現量を比較検討した。【結果】昨年と同様に、鼻茸をともなった(3)アスピリン耐性者の鼻茸粘膜、(4)アスピリン非耐性者の鼻茸粘膜群では、(1)正常鼻粘膜群と比較してlamininγ1が強く染色される症例が多く観察された。その他のサブユニット(α1、β1)においても鼻茸症例の方が強い染色性を認める傾向が見られた。一方、PCR法では各群のほとんどの症例で、lamininγ1のRNAレベルでの存在が確認されたものの、ウェスタンブロット法では必ずしも鼻茸を形成している組織中のlamininγ1タンパクが多いという結果は得られなかった。【考察】昨年に引き続き、鼻茸の形成過程に、ラミニンY1が重要な役割を果たしていることが示唆されたものの、いまだ確信するには至っていない。結果のばらつきの原因としては、鼻茸の採取・保存法の違いや、染色条件の違いなどが影響している可能性も否定できない。このため今後は、再現性を高めるためにさらに精度の高い実験を行いながら、lamininγ1の鼻茸形成への関与を明らかにしていく。
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