2007 Fiscal Year Annual Research Report
老人性難聴の分子病理学的解析〜蝸牛外側組織に焦点を当てて〜
Project/Area Number |
19791250
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
木村 百合香 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 研究員 (40450564)
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Keywords | 老人性難聴 / 遺伝性難聴 / ヒト側頭骨病理学 / 感音性難聴 / Taq Man PCR / 蝸牛 / mRNA / 加齢 |
Research Abstract |
老人性難聴は、様々な原因が想定されているが、病理組織変化が見られない症例が知られている。我々は、この原因として、ラセン靱帯やラセン板のタンパク組成の変化による振動特性の変化や、K^+イオンのリサイクリングの阻害物質の沈着などを予測している。そこで、東京都老人医療センター剖検病理科において、病理解剖時に採取されたヒト側頭骨を凍結保存しRNAを抽出、超高齢者(90歳以上)と、前期高齢者間において蝸牛外側組織に多く発現する難聴遺伝子のmRNA発現量の比較を行った。ヒト内耳組織からのRNA抽出は、RNAlater溶液中にて骨迷路を削り、蝸牛・前庭の膜迷路を採取することで、良質なRNA抽出が可能であった。本法は我々が独自に開発した手法であり、その詳細を原著として、Acta Otolaryngologicaに掲載予定である。またヒト蝸牛外側組織におけるmRNA発現量の比較検討結果も今後発表予定である。ここで得られた結果を基に、加齢性難聴を呈する近交系マウスと呈さない近交系マウスを用い、聴性脳幹反応による聴覚評価を行ったのち、これらから摘出された内耳よりRNA・タンパクを抽出した。そこで、同様にTaq Man PCR法による定量的RT-PCR法を用い、mRNA発現量を比較しデータを解析中である。今後この結果を基に、ウェスタンブロット法によるタンパク発現量の解析、免疫組織学的解析を行い、蝸牛外側組織における老人性難聴の病態の考察を行う予定である。(平成19年8月1日より平成20年3月31日まで育児休業のため研究中断となった。)
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