2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791258
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
臼井 智彦 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 助教 (80282557)
|
Keywords | 角膜 / 血管新生 / アンジオテンシン / 炎症 |
Research Abstract |
角膜感眼球最表層に位置する透明な組織であり良好な視力や視機能を維持するためには、角膜が無血管であることが必須条件である。しかしさまざまな刺激や侵襲によって病的な血管が角膜内へ侵入してしまうことがある。このような角膜血管新生では炎症、免疫が関与した病態であることが解明されつつあるが、現在までに完全に角膜血管新生を抑え込む治療法が存在せず、新たな視点での治療法開発が望まれている。今回我々は抗炎症作用を有する物質である、アンギオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)に注目した。近年レニンアンジオテンシン系(RAS)は局所で炎症性メディエーターとして様々な炎症過程に関与していることが報告されており、病的な炎症性血管新生との関連が示唆されている。そこで本研究では角膜血管新生おけるRASの関与とARBの効果について検討した。平成19年度ではマウス角膜血管新生モデルにおけるRASの発現を分子レベル(RT-PCR)、蛋白レベル(western blotting)、組織レベル(insitu PCR、免疫染色)で検討した。するとRASの最終産物であるアンジオテンシンIIやアンジオテンシンI型受容体の発現が角膜血管新生過程で上昇することを突き止めた。平成20年度ではARBと用いて角膜血管新生におけるRASの機能を検討した。平成19年度と同様マウスの角膜血管新生モデルにARBを全身投与すると、コントロール群に比べ、炎症細胞浸潤や炎症関連因子の発現、さらに血管新生が抑制された。これら一連の研究により、無血管透明組織である角膜においても炎症が生じた場合、角膜局所でRASが活性化し、過剰発現したRASの因子は血管新生促進、炎症促進として機能することが示された。さらにARBは角膜血管新生抑制に有効な薬剤である可能性を示唆し、今後の臨床応用が期待されると考えられた。
|
Research Products
(2 results)