2008 Fiscal Year Annual Research Report
Flatmount法を用いた毛様体・網膜幹細胞からの視細胞再生についての解析
Project/Area Number |
19791263
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西口 康二 Nagoya University, 医学部・附属病院, 助教 (30447825)
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Keywords | 網膜変性 / 毛様体上皮 / 網膜 / 視細胞 / 網膜発生 |
Research Abstract |
H19年度の研究では、遺伝性網膜変性マウスを重点的に分析した。その結果、網膜組織形成後でも、毛様体扁平部において、分裂細胞から網膜神経細胞が分化しうることが分かった。しかし、生後30日齢以降の成体マウスにおいては、そのような現象は確認できなかった。 H20年度は、生後30日齢以降の成体マウスの毛様体扁平部においても、分裂細胞から網膜神経細胞が再生されることを、薬剤性の後天性網膜変性モデルを用いて明らかにした。 生後30日齢のマウスにMNUを投与することにより網膜神経変性を誘発した。その2日後にBrdUを腹腔内投与し、分裂細胞をラベルした。MNU投与1週間から10日後に網膜を免疫組織学的に解析した。その結果、MNUを投与したマウスの周辺網膜や毛様体においては、コントロールに比べて、BrdU陽性細胞や神経細胞の形態的な特徴を有しかつ網膜神経のマーカーであるリカバリンに対して免疫反応が陽性の細胞が有意に増加していた。また、そのBrdU陽性細胞の中にはリカバリン陽性の細胞も少数含まれていた。これらの細胞は、生後32日齢以降にBrdUを取り込んだ分裂細胞が、網膜神経系の細胞に分化したものと考えられた。 以上より、成体の哺乳類の毛様体は、網膜障害に反応して網膜神経細胞を分化・再生する役割を担っていると考えられた。そのメカニズムをさらに解明することにより、多くの神経細胞を失った重症な網膜変性患者に対する、網膜神経再生治療への新たな道が開かれる潜在性を秘めている。
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