2008 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素上皮細胞におけるamphiphysinIバリアントの役割
Project/Area Number |
19791268
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
細谷 修 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90304310)
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Keywords | 網膜 / 色素上皮細胞 / エンドサイトーシス / エンドソーム / アンフィファイジン |
Research Abstract |
Amphiphysin Iは神経終末でシナプス小胞膜回収に関与するエンドサイトーシス関連分子の1つである. 我々は網膜特異的なamphiphysin Iバリアント(amph Ir)を見出し, amph Irがヒト網膜リボンシナプスの視覚情報伝達機構に関与することを以前報告した. 最近amph Irが神経性網膜の他に, ヒト網膜色素上皮にも発現することを見出した. 色素上皮は貧食作用や, 血液と神経性網膜間の物質交換を担い, 発達した細胞内小胞膜輸送システムとこれに関係する多様なエンドサイトーシス経路をもつ. 網膜特異的なエンドサイトーシス関連分子amph Irの機能を調べることは, 網膜の視覚情報伝達のみならず, 色素上皮が営む網膜健常性維持の分子機構の理解にとって重要な研究課題である. 今回, ヒト網膜色素上皮培養細胞株(ARPE-19)を使い, 色素上皮のエンドサイトーシスに果たすamph Irの役割を調べた. その結果, (1) 免疫細胞化学により, amph Irの大部分が細胞質に瀰漫性に, 一部が細胞内小器官(クラスリン陽性微小構造, エンドソーム等)に局在することが分かった. (2) RNAiによるamph Ir発現抑制は, 細胞の成長, 生存率, 形態には影響を与えなかった. (3) Amph Ir発現抑制細胞に対し, 標識トランスフェリン(Tfn)を用いてクラスリン依存性エンドサイトーシス経路を追跡したところ, amph Irは初期エンドソームからendosomal recycling componentへのTfn細胞内輸送過程に関与することが分かった. (4) Amph Irの相互作用分子を免疫沈降法と質量分析で検索し, 相互作用候補としてミオシンIIA(非筋)を見出した. 細胞内小胞膜輸送に多様なモーター分子が関与することを鑑み, 今後ミオシンIIAとの相互作用の可能性を調べ, 初期エンドソームのTfn輸送でのamph Irの役割を更に追究する.
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