2007 Fiscal Year Annual Research Report
分化形質を維持した角膜上皮細胞株の樹立及び角膜上皮分化機構の解明
Project/Area Number |
19791271
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
木村 和博 Yamaguchi University, 医学部, 助教 (60335255)
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Keywords | 細胞・組織 / シグナル伝達 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、Humanコネキシン43安定発現角膜上皮細胞株の樹立および角膜上皮細胞特異的なシグナル伝達経路の解明を目的とする。Humanコネキシン43(hCx43)の発現ベクター(hCx43-EGFP)の作製後、hCx43-EGFP発現プラスミドを角膜上皮細胞に遺伝し導入し、恒常的にhCx43を発現する細胞株を単離、同定した。まず、実際にhCx43-EGFPの安定発現株での、その発現をイムノブロット法にて検討し、実際に安定細胞株でのhCx43-EGFPの蛋白質発現を確認した。さらに、このhCx43-EGFP安定発現株における細胞間のギャップジャンクション(GJ)機能の検討をDye coupling法にて解析した。その結果、コントロールであるEGFP安定発現株がまったくGJ機能を有さないのに対して、hCx43-EGFP安定発現株では、優位に細胞間における機能的なGJが形成されていることが明らかとなった。 また、hCx43-EGFPの局在を免疫組織学的に検討した結果、hCx43-EGFPは細胞一細胞間結合部位に有意に局在することが明らかとなった。 hCx43-EGFP安定発現株の角膜上皮特性に関する検討のため、角膜上皮分化マーカーであるケラチン-3/12の発現をイムノブロット法にて解析した結果、親株である角膜上皮細胞比べ、それらの発現の差は認めませんでした。以上のことから我々は機能的なGJを有するhCx43-EGFP安定発現角膜上皮細胞株の樹立ができた。この細胞株を用いることにより角膜上皮における細胞機能の分子メカニズムさらには角膜上皮幹細胞の特性や幹細胞としての形質維持に必要なシグナル伝達経路の解明が可能となり、未解決である角膜上皮異常の発症機序あるいは角膜上皮分化、成熟機構の解明に大きく寄与すると思われる。
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