2008 Fiscal Year Annual Research Report
白内障手術術後に発症する化膿性眼内炎の発症原因の研究
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19791274
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
川崎 史朗 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 助教 (00403816)
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Keywords | 白内障手術術後眼内炎 / 薬物動態 / レボフロキサシン / 動物モデル / 硝子体薬物濃度 / 前房内投与 |
Research Abstract |
抗菌薬添加潅流液使用時の眼内における抗菌薬動態の評価について(申請時のC項) ヒトもしくはウサギの眼内組織に影響を与えない濃度が実証されている抗菌薬(レボフロキサシン : LVFX)を家兎眼に白内障手術を行った直後に前房内投与する。術終了時の抗菌薬前房内投与が術後眼内炎の発症予防策として注目されている。今回、水晶体摘出を行った家兎眼前房にレボフロキサシン(LVFX)を投与し、眼内薬物動態の視点からその意義を検討した。 【方法】超音波乳化吸引術により水晶体を摘出した白色家兎眼(標準群)の前房内に0.5%LVFX点眼液0.1mlを投与し、投与直後(0h)と2時間後(2h)(各5眼)に前房水、前部・中部・後部の硝子体を採取、各部位のLVFX濃度を高速液体クロマトグラフィーにて測定した。また、術中、意図的に破嚢させた家兎眼(破嚢群)でも同様の検討を行った。 【結果】LVFXの平均房水内濃度(μg/ml)は標準群で0h : 1130±520, 2h : 202±80、破嚢群で0h : 835±318, 2h : 129±53であった。平均硝子体内濃度(μg/g : 前部・中部・後部の順)は標準群で0h : 15.4±15.3・0.04±0.06・0.01±0.01、2h : 31.7±5.0・13.6±6.2・8.7±6.2、破嚢群で0h : 68.0±97.7・34.7±75.6・20.0±44.1、2h : 45.2±29.8・63.0±63.9・74.8±80.8となった。すなわち、硝子体全体の分布で見た時、破嚢群では少なくとも投与直後で20μg/g、2時間後で45μg/gの濃度に達しており、前部硝子体を主体に薬剤が移行していた標準群でも、2時間後には8.7μg/g以上の硝子体内濃度レベルが得られた。 【結論】LVFXの前房内投与により、房水内のみならず硝子体内にも高濃度で移行することが示された。特に、術中破嚢例の眼内炎発症予防に有用な方策となる可能性がある。
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