2008 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素変性症の動物モデルにおける網膜各層の機能解析
Project/Area Number |
19791286
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
大高 幸二 Iwate Medical University, 医学部, 研究員 (70438498)
|
Keywords | 網膜色素変性症 / 網膜電図 / ERG / 多局所網膜電図 |
Research Abstract |
P347Lロドプシントランスジェニック(Tg)ウサギは、ヒトの常染色体優性遺伝性網膜色素変性症と同じ遺伝子異常を有しており、視細胞が徐々に変性する。16週齢のTgおよびWTウサギを対象として全視野刺激網膜電図および多局所網膜電図(mfERG)を記録した。Pharmacological-dissectionによって、眼底後極部の網膜外層・中層および内層の機能変化をTgとWT間で比較した。 16週のTgウサギでは、全視野刺激ERGのscotopicaおよびb波ならびにphotopic b波振幅が、WTに比較して有意に低下していた。従って、杆体ならびに錐体が広範囲に変性していると考えられた。 硝子体内にTrx, NMDA, APB, PDAを注入して、網膜内層あるいは中層の応答をブロックした。網膜外層および中層の応答は、TgおよびWT間で有意差は認められなかった。従って、錐体の変性は眼底後極部ではまだ生じていないと考えられた。しかし、網膜内層の応答(TTXおよびNMDAで消失した成分)は、TgとWTでは異なった波形を示した。つまり、WTでみられた50msのスパイク状の陽性波と80msのゆっくりとした陽性波が、Tgでは観察されなかった。これらの結果から、錐体の変性が始まる前から網膜内層のシグナル伝達に変化が起こっていると考えられた。
|