2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791287
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
橋爪 公平 Iwate Medical University, 医学部, 助教 (50407095)
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Keywords | 加齢性眼疾患 / 酸化ストレス / 遺伝子多型 / 加齢黄斑変性 |
Research Abstract |
本研究の目的は遺伝子検索や酸化ストレスマーカー検索によって、加齢性眼疾患における酸化ストレス状態を明らかにし、同疾患の病態を解明することである。平成19年度に引き続き、平成20年度においても、高齢者の視機能に重大な影響を及ぼす疾患である加齢黄斑変性(AMD)における酸化ストレスマーカーについて検索を行った。対象は昨年度よりも症例数を増やし、AMD患者130例、健常人90例とした。検索項目は酸化ストレスマーカー(CoQ10酸化率、血清LPO、尿中8-OHdG、尿中イソプラスタン)、酸化関連金属(鉄、銅)、抗酸化能、水溶性ビタミン(ビタミンC、葉酸、ビタミンB12)、脂溶性ビタミン(ルテイン+ゼアキサンチン、β-クリプトキサンチン、リコピン、カロテン、ビタミンA、ビタミンE)とした。その結果、AMD患者では、血清LPOの有意な上昇が認められて、その一方で、総抗酸化能、葉酸、β-クリプトキサンチン、ビタミンA、還元型CoQ10であるユビキノールの有意な低下がみられた。血清LPOは脂質の酸化状態を表すマーカーで、AMD患者が酸化ストレスを受けていることが示唆された。また抗酸化因子の低下がみられたことから、酸化ストレスによって消費された、あるいは抗酸化因子の不足によって酸化ストレスを受けることになった可能性が示唆された。本研究によって、AMD患者において、全身の酸化・抗酸化のバランスが崩れ、酸化ストレスの影響を受けていることが示され、病態に酸化ストレスが関与することが強く裏づけられた。今後、抗酸化因子をノックアウトした動物(SOD1ノックアウトマウスやビタミンCノックアウトマウス)を用いて、負荷実験・レスキュー実験を行うことで、病態の直接的な解明や加齢性眼疾患の治療・予防法の解明が期待される。
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