2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791290
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
篠田 肇 Keio University, 医学部, 助教 (30306766)
|
Keywords | 血管新生 / 網膜 / 炎症 |
Research Abstract |
【目的】眼内血管新生は、失明に直結する網膜疾患である糖尿病網膜症・加齢黄班変性における共通の進行期病態である。これらの疾患では炎症に続発して病理的な血管新生が発症するため、これらの網膜疾患を治療するには炎症性血管新生を制御することが鍵となると考えられる。近年、ADAM(a disintegrin and metal loproteinase)familyの一つであるADAM28は、血管内皮-白血球間の接着を制御していることが知られるようになった。今回我々はADAM28が炎症を制御する接着分子として眼内血管新生を促進するとの仮説を立て、ADAM28が糖尿病網膜症において果たしている役割を検討した。 【方法】手術的に採取された増殖糖尿病網膜症(PDR)の線維血管組織におけるADAM28の局在を免疫組織化学染色により検討した。また、PDRの線維血管組織および、網膜上膜(ERM)の血管成分を含まない増殖組織におけるADAM28の発現をrea1-time PCRにて比較した。さらに2種のサイトカイン、VEGFとTNF-aにより刺激したヒト培養血管内皮細胞(HUVEC)でのADAM28の発現変化をRT-PCRにて評価した。 【結果】AI)AM28はPDRの線維血管組織の血管内皮細胞で陽性であった。また、PDR群におけるADAM28の発現はERM群と比し有意に高かった。HMVECにおいてVEGF・TNF-aの刺激はともにADAM28の発現を上昇させた。 【結論】PDRの線維血管組織においてADAM28の発現は有意に上昇しており、PDRの病態促進にADAM28が関与している可能性が示唆された。
|