Research Abstract |
小児期膵胆管合流異常の前癌状態から発癌にいたる詳細な分子メカニズムの解明のために,主に次の2点について研究を進めている. (1)膵胆管合流異常の臨床検体を用いた胆道組織におけるDNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現プロファイルの作成 (2)多段階発癌過程における発現遺伝子のクラスター解析 本研究では,近年新たな分子生物学的手法として脚光を浴びているDNAマイクロアレイを用い,小児期における胆道正常粘膜,合流異常における非構造変化粘膜(正常または炎症性変化のみ),過形成粘膜,異形成粘膜,および癌組織の遺伝子変化をhigh-throughputかつ体系的に解析することを主眼とした。本研究機関では,これまで100例に及ぶ本疾患の治療実績があり,その中には小児期発癌症例も含まれている。これらのうちパラフィン包埋組織と凍結組織の両方が保管されており,予後が判明している症例を対象とした。 平成19年度に行った研究内容は, 1膵胆管合流異常症臨床検体の病理学的診断として,切除胆道組織(胆嚢および総胆管)より薄切標本を作製し,H&E染色を施行,それぞれの検体を非構造変化組織,過形成組織,異形成組織,癌組織を選別し,粘膜上皮採取部位を決定した。 2膵胆管合流異常検体からのmRNA抽出:選別した各組織ごとに,凍結標本から実体顕微鏡下に粘膜上皮だけを採取し,mRNAの抽出を行った。 3さらに他の小児腫瘍疾患(神経芽腫・胚細胞腫瘍など)について,臨床データの解析を行い,小児期癌に関する検討および学会発表を行った。
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