2007 Fiscal Year Annual Research Report
表皮幹細胞移植による難治性潰瘍のティッシュエンジニアリングと新規治療ストラテジー
Project/Area Number |
19791318
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
冨岡 みゆき St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 研究技術員 (90398967)
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Keywords | 移植・再生医療 / 再生医学 / 細胞・組織 / 糖尿病 / 発生・分化 |
Research Abstract |
再生医療技術を用いて難治性皮膚潰瘍治療を試みる場合、大きく2種類の細胞が利用されている。そのひとつは骨髄間質細胞であり、もうーつは脂肪組織幹細胞である。いずれの場合も、その有効性が知られているが、前者は骨髄穿刺という比較的大きい侵襲を必要とし、脂肪組織採取においても患者本人の外科的侵襲を避けて通ることができない。そこで、本年度は同種表皮幹細胞利用による難治性皮膚潰瘍治療に及ぼす効果を検討した。標準的皮膚潰瘍治療に不応で外科処置不同意の難治性皮膚潰瘍患者にIC取得後、あらかじめ培養してある同種表皮幹細胞治療を潰瘍創部に対して適用した。その結果、2年以上治療に難渋していた皮膚潰瘍が40日程度で、半年以上治療に抵抗した熱傷潰瘍が約7日間で完全上皮化し、その有用性が示された。表皮幹細胞は採取と培養が比較的容易であるが、本研究の場合自家表皮幹細胞を用いるのではなくあらかじめ病原微生物などの感染の無い安全な同種表皮幹細胞を用いることで、患者の外科侵襲を伴わないことが特徴である。本技術を既にのべ5例の患者に適用しているがいずれも副作用を認めず、全例創部面積の縮小ならびに完全上皮化が得られた。本治療法を適用すると、早期の肉芽増生と辺縁部からの表皮の伸展が認められた。特に肉芽増生については血管新生を伴った良好な肉芽が得られ、これは表皮幹細胞の産生する血管新生因子が創部周囲に作用し、潰瘍面に存在する自己の幹細胞を刺激することで、創傷治癒を促進しているものと推察された。次年度においては本表皮幹細胞治療の有効作用機序について、動物実験を行って検討をする予定である。
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