2008 Fiscal Year Annual Research Report
表皮幹細胞移植による難治性潰瘍のティッシュエンジニアリングと新規治療ストラテジー
Project/Area Number |
19791318
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
冨岡 みゆき St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 研究技術員 (90398967)
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Keywords | 移植・再生医療 / 再生医学 / 細胞・組織糖尿病 / 発生・分化 |
Research Abstract |
昨年の報告の始まりと重複するが、表皮角化細胞は身体内部を外界の侵襲から保護する為に、旺盛な細胞分裂能を保持し角質層を形成することで、バリアとしての機能を維持している。表皮は外界からの機械的刺激の防御のための角質層形成以外にも、生物学的、化学的刺激から生体を守るためにIL-1などの炎症性サイトカインで大量のプロスタノイド、特にPGE_2を産生する。しかし、その役割は不明な点が多く、特にVEGFを始めとする増殖因子産生の役割や機能については明確でない。これ迄の研究で、表皮幹細胞が創傷治癒の促進に作用し、これ迄数ヶ月から数年治療に難渋してきた難治性潰瘍等へ応用すると早ければ数日遅くとも40日程度で瘢痕治癒することが認められ、その有用性が線維芽細胞を含んだ皮膚代替物よりも効率的であることも判明してきている。そこで、2年間の研究のまとめとして、今年度はヒト表皮幹細胞が産生する増殖因子を同様に皮膚構成細胞である線維芽細胞と比較することで、潰瘍治療に対する有効性作用機序を検討した。 ICを得た患者皮膚から、表皮幹細胞を培養し凍結保存した。この表皮幹細胞を常法に従って解凍して培養した。得られた細胞がコンフルエントになった段階で、24時間中に放出される、IGF, VEGF, IL-6, TGF-b, EGF, bFGF, Leptin, TNF-aを同時測定した。 その結果表皮幹細胞は、IL-6除く全ての増殖因子が、線維芽細胞より多量に産生されていることが解った。同時に炎症性の刺激によって、表皮幹細胞からこれら因子の産生の増強が、認められつつあり、現在検討中である。これらのことから、表皮幹細胞の有用性の一部が説明出来るものと思われた。
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