2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791327
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
御舘 靖雄 Kanazawa University, 医学系, 協力研究員 (80377382)
|
Keywords | 播種性血管内凝固 / TAFI |
Research Abstract |
近年、トロンビンによって活性化される新しい線溶阻止因子TAFIが発見されたが、TAFIの臨床における意義は未だ解明されていない。この度、播種性血管内凝固症候群(DIC)病態における活性型TAFI(TAFIa)の動態を、組織因子(TF)誘発ラットDICモデルを用いて検討した。 TFモデルはTF3.75mg/kgを4時間かけて尾静脈より点滴静注した。薬物投与群では、抗トロンビン薬であるアルガトロバンをTF投与開始30分前から30分かけて尾静脈より点滴静注した。TAFIaの測定は、まず血漿を、TAFI活性化停止剤をいれたシリンジで採血し、採血後のTAFIからTAFIaへの変換を停止させた。その血漿を2つに分け、片方にのみTAFIa阻害剤であるCPIを投与しTAFIaをマスクした(CPIを加えたほうではTAFIa以外のカルボキシペプチダーゼ類の活性を、CPIを加えなかったほうではTAFIaを含む全てのカルボキシペプチダーゼ活性を測定することになる)。CPIを加えなかった血漿のカルボキシペプチダーゼ活性をTAFIa様活性と表現した。 その結果、DIC誘発によって観察された血小板数、フィブリノゲン、TAT、D-dimerといった凝血学的マーカー、肝及び腎臓器障害のマーカーであるALT及びCrの変動は、アルガトロバンの投与によって有意に改善された。TAFIa様活性およびTAFIa活性はTF誘発DICモデルにおいて、経時的な上昇がみられた。一方、アルガトロバン投与により8時間後においてTAFIaの上昇は有意に抑制された。 TAFIa活性はDIC病態において有意に上昇し、アルガトロバンによってその上昇が抑制されたことから、DICにおいてTAFIはトロンビンによって活性化され、線溶抑制の観点から重要な役割を果たしているものと考えられた。
|