2008 Fiscal Year Annual Research Report
菌体成分,特にLPS投与マウスの血小板動態とアナフィラキシー様反応
Project/Area Number |
19791338
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
船山 ひろみ Tsurumi University, 歯学部, 助教 (00359530)
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Keywords | 血小板 / マウス / アナフィラキシー様反応 / 菌体成分 / LPS / 補体 / アドレナリン / セロトニン |
Research Abstract |
グラム陰性菌の細胞壁成分であるlipopolysaccharide(以下LPS)をBALB/cマウスに静脈内投与すると, 補体依存性に肺と肝臓への血小板の急速な集積とその脱顆粒によるアナフィラキシー様ショックが誘導される。この血小板反応が口腔内から供給されるLPSによってもひきおこされ, 種々の疾患に関わるのではと予想している. マンナンは真菌細胞壁成分であり, 真菌と血小板との反応が心内膜炎に関与するとの報告もある. ddYマウスにマンナンを投与すると急性ショックを誘導し, PAF拮抗薬が抑制することから, 血小板の関与が考えられる. しかしながら, マウスの血小板はPAFにより活性化しないとの報告もある. 今回, 真菌マンナンによる血小板反応をマウス (in vivo) で検討し, Klebsiella O3-LPSによる反応と比較した. KO3-LPSはBALB/cで強い血小板反応とショックを誘導するが, ddYでは血小板反応の程度は弱く, ショックも軽微であった. ddYマウスはマンナンでショックを誘導したが, BALB/cではショックは起こらなかった. マンナンによるショックもマウスの系統に依存する. 以下LPSはBALB/cマウス, マンナンはddYマウスで行った実験の比較である. LPSによるショックは補体C5阻害薬で抑制されるが, マンナンによるショックは抑制されない. また, PAF拮抗薬投与によりマンナンによるショックは抑制されたが, LPSによるショックは抑制されない. LPSの場合は,血小板を枯渇することによりショックの誘導は抑制されるが, マンナンによるショックは血小板を枯渇しても誘導されるだけではなく, 逆に増強された. 以上の結果より, LPSやレンサ球菌菌体は血小板の肺や肝臓への集積・脱顆粒を介して急性ショックを誘導するが, 真菌マンナンの場合はPAF依存性, 血小板非依存性のメカニズムでショックを誘導するものと思われる.
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[Journal Article] ニッケルアレルギーの自然免疫を背景とした発症機序2008
Author(s)
佐藤直毅, 金原正敬, 高橋春江, 黄玲, 船山ひろみ, 黒石智誠, 山本照子, 佐々木啓一, 高田春比古, 菅原俊二, 遠藤康男.
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Journal Title
臨床免疫・アレルギー科 50
Pages: 618-624
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