2007 Fiscal Year Annual Research Report
骨リモデリングにおける骨芽細胞活性化共役因子(カップリングファクター)の解明
Project/Area Number |
19791341
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
李 敏啓 Niigata University, 超域研究機構, 助教 (60447612)
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Keywords | 解剖学 / 細胞・組織 / 遺伝子 / 歯学 / 骨 |
Research Abstract |
平成19年度の研究計画に対して下記の研究経過を行った。 I:破骨細胞がリモデリング時の骨芽細胞活性化に必須であることの実験 生後2週齢op/opマウスを用いて、酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)とアルカリホスファターゼ(ALP)組織化学、および微細構造観察を行った。op/opマウスの大腿骨骨幹部の骨梁はTRAP陽性破骨細胞が存在せず、扁平な線維芽細胞様細胞、血管内皮細胞または骨髄細胞が認められたが、ALP陽性骨芽細胞を観察されなかった。また、微細構造学的には石灰化骨基質の形成は悪いことが示唆された。 II:破骨細胞の骨吸収により放出する局所因子の可能性の実験(腫瘍の骨転移・c-src^<-/->マウス実験) 生後12週齢c-src^<-/->マウスを用いて、酒石酸抵抗性酸性ホスファタゼ(TRAP)、アルカリホスファターゼ(ALP)、オステオポンチン(OPN)などの免疫組織化学、von kossa染色、微細構造観察を行った。c-src^<-/->マウスの大腿骨の骨幹端部から骨幹部にかけて海綿骨で満たされたおり、また、骨梁の表面に多数のTRAP陽性破骨細胞が存在したことが分かった。一方、破骨細胞に隣接したTRAP/OPN陽性cement line上に強いALP陽性骨芽細胞が局在し、そこには良く石灰化した骨基質を観察した。また、電顕レベル観察すると、波状縁を持たない破骨細胞に連続するように骨芽細胞が局在し、細胞間接触を形成していた。一方、腫瘍細胞の骨転移モデルでは活発に骨吸収を営む破骨細胞と、それに隣接して活性型骨芽細胞を観察した。 以上より、骨リモデリングにおける骨芽細胞の活性化は破骨細胞が必須であること、特に、骨芽細胞の活性化には必ずしも破骨細胞の骨吸収により骨基質埋め込まれていた局所因子が放出・作用することではなく、破骨細胞が分泌する有機成分あるいは破骨細胞との細胞間接触である可能性が推測された。
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