2008 Fiscal Year Annual Research Report
異形歯性歯列のパターン形成におけるFGFシグナルとBMPシグナルの拮抗的な役割
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19791347
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山中 淳之 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80343367)
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Keywords | 歯の発生 / 歯列 / 歯種 / スンクス / FGF / BMP / 顎の発生 |
Research Abstract |
哺乳類の異形歯性歯列は、切歯、犬歯、小臼歯、大臼歯から成る。これらの歯種が発生の過程でどのように決定されているのかは、多くの研究があるにもかかわらず未だ解明されていない。前年度は、食虫類の実験動物スンクスを材料にして、歯列形成の形態学的解析、およびShh遺伝子の発現解析を行った。その結果、上下顎原基における各歯種の形成領域が明らかになり、上顎の第1乳切歯と第2乳切歯の間に前頭鼻突起と上顎突起の癒合部が通過することが分かった。当該年度は、顎原基における歯種決定の候補因子の遺伝子発現パターンの解析、および骨形成の形態学的追跡による切歯縫合の位置の確認を行なった。その結果、歯列形成開始前の上下顎原基において、Bmp4/Msxlの発現ドメインが将来の切歯領域に、Fgf8/Barxlの発現ドメインが将来の臼歯領域に対応していることが明らかになった。また、前顎骨の骨形成は、上顎第1乳切歯の歯胚に隣接する間葉中に出現するが、その後遠心方向に成長し、上顎骨との切歯縫合の最終的な位置は犬歯の歯胚の近心に形成されることが明らかになった。以上の結果から、分子レベルでの歯種決定モデルとも、比較形態学的な歯種の定義とも矛盾しない異形歯性歯列の発生過程のモデルを提出することが可能となる。そのモデルでは、1、歯列形成開始前の上下顎原基において、BMPとFGFが相補的な発現パターンを示す。2、切歯領域と臼歯領域がその発現パターンと対応している。3、上顎歯列の切歯は前顎骨に、犬歯以降の歯は上顎骨に槽生する。
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