2008 Fiscal Year Annual Research Report
抗ハードケラチン抗体作製と幻影細胞の発現メカニズム解析およびその意義
Project/Area Number |
19791348
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
田中 章夫 Meikai University, 歯学部, 助教 (30406392)
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Keywords | 石灰化嚢胞性歯原性腫瘍 / 歯牙腫 / 毛母腫 / 頭蓋咽頭腫 / 陰影細胞・幻影細胞 / hard keratili / Wntシグナル伝達経路 / 封入嚢胞 |
Research Abstract |
Wntシグナル伝達経路は初期胚発生における器官形成や腫瘍発生において重要な役割を果たすことが知られている. 本研究では, これまで、独自に作成したhair proteinsに対する抗体を用い、石灰嚢胞性歯原性腫瘍(石灰化歯原性嚢胞), 歯牙腫, 毛母腫(石灰化上皮腫), エナメル上皮腫型頭蓋咽頭腫でみられる幻影細胞および陰影細胞の出現へのWntシグナル伝達経路の関与について免疫組織化学的に検索した.その結果, いずれの腫瘍においても幻影細胞および陰影細胞はhair proteinsに対する抗体に強い陽性反応を示し, これらの細胞の細胞質にhard keratinの高度な局在が示された。移行細胞を有する毛母腫を除いて, 石灰化嚢胞性歯原性腫瘍, 歯牙腫およびエナメル上皮腫型頭蓋咽頭腫における幻影細胞や陰影細胞の出現様式は突然であり, 移行形態を有しない点で同じであった. また幻影細胞や陰影細胞に近接した上皮細胞では, β-cateninの核および細胞質での発現増加, およびLef-1の核への局在を認めた. これらの腫瘍では, 腫瘍細胞の細胞質においてβ-cateninの集積が増加し, 核内へ移行することによってLef-1と結合し, hair proteinのプロモーター領域の転写活性が生じ, hard keratinの産生が増加した結果, 幻影細胞または陰影細胞が形成されることが考えられた. また、臨床で経験した唇顎口蓋裂の骨移植部に発生した封入嚢胞の1例では、hairproteinsに対する抗体を用いた免疫組織化学的検索により、その発生に毛髪の迷入が関与している可能性が示唆された。現在我々は、ヒト毛髪から抽出・精製した毛髪タンパクを免疫原としてマウスに使用し、type I acidic hardα-keratinsに対する新たなモノクローナル抗体を作製中である。
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Research Products
(3 results)