2008 Fiscal Year Annual Research Report
細菌リポ蛋白質生合成阻害によるグラム陽性細菌の病原性喪失に関する研究
Project/Area Number |
19791349
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
有本 隆文 Showa University, 歯学部, 助教 (60407393)
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Keywords | Streptococcus mutans / リポ蛋白質 / Lgt |
Research Abstract |
【目的】Streptococcus mutansの細胞膜にはマルトース(Mal)の輸送系としてホスホエノールピルビン酸依存ホスホトランスフェラーゼ系(PEP-PTS)と糖結合タンパク依存輸送系(Mal-Binding Protein-dependent Transport System : Mal-BPTS)の少なくとも2種類の存在が示唆されている。S.mutansゲノム配列情報からMal-BPTSは膜貫通タンパク(MalFとMalG)、糖結合タンパク(MalE)、ATPase(MalK)からなる輸送タンパク複合体を形成してMalを取り込み、制御タンパク質(MalR)がこの取込みを調節していると推測されているが詳細は不明である。我々はこれらの輸送タンパク複合体とリポタンパク質生合成酵素(LgtとLspA)を含む各成分の欠損変異株を作成し、S. mutansMal-BPTSの詳細な解析を試みた。【方法】S. mutansの変異株は109c株をもとに対応する遺伝子の挿入不活化により作成した。BPTSによるMalの取込みは、PEP-PTSでのMal取込み欠損株(EII株)とそれをもとに作成した二重変異株を用い、Mal制限培地(Mal培地)での発育により判定した。MalEの局在性は特異抗体を用いたWestern blotで行った。 MalEmRNA発現量はrea1-timeRTPCRで評価した。【結果・考察】1. MalEの局在性はLgtの欠損で細胞表層から培養上清へと変化した。また、Mal培地でのEII/Lgt, EII/LspA, EII/MalE株の増殖はEII株に比べて顕著に抑制されていた。→Mal結合タンパクMalEはリポタンパク質で機能発現にLgt, LspAによる修飾が必須。2. EII/MalF, EII/MalG, EII/MalR株はMal培地でまったく増殖しなかったが、EII/MalK株はEII株と同様な増殖を示した。→膜貫通タンパクであるMalF, MalGは必須の成分。3. MalEmRNA発現はMal刺激で増加。しかしMalRの欠損で変化。→MalEmRNAの発現がMalRのMal認識により調節されている可能性。
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