2008 Fiscal Year Annual Research Report
齲蝕細菌のSortaseを標的とした新規齲蝕予防法の開発
Project/Area Number |
19791350
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
深町 はるか Showa University, 歯学部, 助教 (10433799)
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Keywords | Sortase / デキストラン分解酵素 / S.mutans |
Research Abstract |
申請者らの研究室では抗生物質やワクチンとは作用機序の異なる新たな病原細菌感染症の治療と予防法の開発につながる基礎研究を進めている。その中で齲蝕細菌(グラム陽性球菌)がもつSortase(細胞膜に存在するシステインプロテアーゼの一種)が齲蝕細菌の表層病原タンパク因子の細胞局在性を触媒していることを明らかにし、Sortaseが齲蝕細菌感染症の治療と予防に有用な標的酵素であることを示唆してきた。本研究では、まず表層タンパク質の膜局在性を支配するSortase阻害剤開発のためのSortase活性の簡易・高感度測定法を開発することを目的としている。 S. mutansのもつデキストラン分解酵素は、Sortaseの基質認識配列LPKTGモチーフをもち、ブルーデキストランを含むSDS-PAGEによるザイモグラフィーで活性を容易に測定することができることから、デキストラン分解酵素を基質としたSortase活性測定法を開発した。基質となるデキストラン分解酵素は、C末端側にSortase認識配列があるので、Sortaseで分解された際に分解前後の分子量変化が小さい。そこで、分解前後の分子量変化を大きくしザイモグラフィーでのSortase活性を容易に識別するために、デキストラン分解酵素のC末端側にグルタチオンS-トランスフェラーゼ(約24 kDa)を融合させ、Sortase基質dextranase-GSTを作製した。分解前のdextranase-GSTの分子量は109 kDaであり、Sortaseにより分解されて85 kDaとなる。続いて、この基質がSortaseによる認識、切断を受けることを確認するため、S. mutans Sortaseの組換えタンパク質を精製して検討した。加えて、S. mutans菌体粗酵素およびS.mutans Sortase欠損変異株菌体粗酵素を用いて、dextranase-GSTの有効性を確認した。
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