2007 Fiscal Year Annual Research Report
デキサメサゾンの骨芽細胞分化に対する作用機構の解明
Project/Area Number |
19791351
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
三上 剛和 Nihon University, 歯学部, 助教 (80434075)
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Keywords | デキサメサゾン / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
我々の研究室では、これまでにデキサメサゾン(Dex)はラット未分化間葉系細胞のROB-C26(C26)に対して、骨基質タンパクや骨芽細胞分化関連転写因子の発現を促進するものの、最終的には脂肪細胞への分化を誘導することを報告した。しかし、本研究において、石灰化能をもつ成熟骨芽細胞様の培養細胞であるROS17/2.8を用いて実験したところ、Dexは骨芽細胞の最終分化とそれに伴う石灰化を促進させた。このことから、骨形成に対するDexの効果は、細胞の分化レベルよって異なる可能性が示唆された。そこで、次に、Dexの細胞分化レベルによる作用効果の違いを以下の方法で検討した。 C26はBone Morphogenetic Protein 2(BMP-2)を作用させることによって未分化間な状態から石灰化能をもつ骨芽細胞に分化誘導することができることから、C26の培養系にBMP-2を添加し、0日、3日、6日、9日、12日間それぞれ培養し、異なる分化レベルにまで分化誘導した後に、さらにDexを添加し、分化レベルによる作用効果の違いを検討した。 実験の結果、C26の石灰化は、BMP-2を添加後、9日目及び12日目からDexを添加することによって促進された。しかし、BMP-2を添加後、0〜6日目の間にDexを添加した培養系では、石灰化は抑制され、脂肪細胞への分化が誘導された。石灰化が亢進した培養系では、BSP、 OC、 DMP-1などの骨基質タンパク質の発現量が増加していた。また、石灰化が抑制された培養系では、転写因子OSXの発現量が抑制されていた。 以上の結果から、DexはC26が未分化な状態では脂肪細胞への分化を誘導し、骨芽細胞への分化を抑制するものの、ある程度、骨芽細胞への分化が進んだ状態では、その後の最終分化と石灰化に対して促進的に働くと考えられる。また、石灰化に対する促進的な効果については、DexがBSPやOCなどの骨基質タンパク質の発現を促進するためと考えられる。これに対して、骨芽細胞分化に対する抑制的効果については、BMP-2によるOSXの発現誘導をDexが阻害してしまうことが要因の一つと考えられる。
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