2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜上皮細胞-免疫担当細胞間の相互作用と、異質性細胞集合体の解析
Project/Area Number |
19791356
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
田所 治 Matsumoto Dental University, 歯学部, 講師 (20319106)
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Keywords | 歯根膜 / 上皮細胞 / マラッセの上皮遺残 / 免疫担当細胞 / サイトケラチン / OX6 / PGP9.5 |
Research Abstract |
歯根膜中に存在する上皮細胞塊を免疫組織化学的に調べ、上皮細胞の潜在的機能の解明を目的とした. 0.5mm厚の歯科用ゴムを、ラットの上顎臼歯の間に挿入し、歯の移動と歯周炎を惹起させた(Waldo法).ゴム挿入開始後より14日後までの臼歯歯根膜における上皮細胞塊、および免疫担当細胞の反応を免疫組織化学的に調べた.歯根膜の切片中の上皮細胞塊に対してサイトケラチン抗体を、免疫担当細胞にはOX6抗体を用いて免疫二重染色を施した.観察は主として蛍光顕微鏡を用いた.また、ネコの犬歯歯根膜にPGP9.5免疫組織化学染色を施し、歯根膜中の上皮細胞塊について電子顕微鏡にて観察を行った。 ラット臼歯歯根膜の所見、および考察 ゴム挿入部に近くの歯根膜では、1.大きな上皮細胞塊の出現、2.上皮細胞塊同士の近接、3.上皮細胞塊の周囲を樹枝状のOX6免疫陽性細胞が取り囲んでいた.各日を通じてOX6免疫陽性細胞による上皮細胞塊への貪食所見は得られなかった.ゴム挿入部から離れた歯根膜では、小さな上皮細胞塊と小さな突起を伸ばしたOX6免疫陽性細胞がときおり観察された.両細胞の近接関係はほとんどみられなかった.14日後では、ゴム挿入部直下の歯肉上皮が肥厚し、上皮の脚部が歯根膜中の大きな上皮細胞塊に近接していた.上皮細胞塊の周囲は、樹枝状のOX6免疫陽性細胞によって取り囲まれていた.以上の所見から、歯根膜上皮細胞とOX6免疫陽性細胞が協調し合いながら、炎症に対する防御反応に関与する可能性が強く示唆された. ネコ犬歯歯根膜の所見、および考察 ネコの犬歯において、上皮細胞塊は歯頸部近くの歯根膜にしばしば観察された.6~8個程度の上皮細胞が塊をつくり、上皮細胞の辺縁部には取り込み能を窺わせる複数の小さな凹みや細胞質突起、細胞塊中には神経内分泌能を窺わせるPGP9.5免疫陽性の細胞が観察された.以上より、ネコ歯根膜中の上皮細胞塊は機能的にheterogeneousな細胞塊である可能性が示唆された.
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Research Products
(2 results)