2007 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原細菌の病原因子タンパクのメンブレン・トラフィッキング
Project/Area Number |
19791358
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 啓子 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70410579)
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Keywords | 歯周病原細菌 / メンブレン / トラフィッキング |
Research Abstract |
歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisの病原因子システインプロテアーゼ(ジンジパイン)は自身も病原因子となるだけでなく、そのプロテアーゼ活性でもって他の病原因子の成熟化にも関わることが分かっている。本研究の目的はジンジパイン活性化獲得機構の解明である。本年度中、主に以下2つの解析を行った。(1)ジンジパイン輸送系に関与するPorTタンパクの解析-PorTタンパクに親和性のある分子をプルダウン法、質量分析法等を用いて検索し、新たに得られた親和性分子がジンジパイン輸送に関わっているという裏付けを得ることができた。また、porT欠損株において蓄積されるジンジパインについての解析結果も得られ、ジンジパインはプロ領域をN末端とするプロ型として存在し、ペリプラズムに蓄積していることも明らかになった。これまでの結果と本年度の解析結果からPorTタンパクはジンジパインの外膜への挿入に関与していることが示された。(2)糖転移酵素変異株の解析-糖転移酵素が欠損することにより、ジンジパインは局在および活性獲得に影響を受けることが報告される。本研究ではLPS合成に関与する糖転移酵素遺伝子変異株を用いた解析を行った。本変異株では、培養液中に分泌されるジンジパインがプロ型を示し、培養液中のジンジパイン活性が減弱していた。また、プロ型ジンジパインとLPSの結合実験から、本変異株のLPSは野生株LPSと比べてプロ型ジンジパインに対する親和性が低下していた。これらの解析結果から、ジンジパインが活性獲得に至るには、LPS等の菌体表面多糖によりプロ型ジンジパインが外膜ヘアンカーされることが重要であることが示唆された。ジンジパインの病原性への関与については多くの解析がされるが、ジンジパイン自身の活性獲得機構については、殆ど分かっていない。本研究において具体的にどの分子がジンジパイン活性獲得に関わっているのか一部明らかとなった。
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