2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原細菌の病原因子タンパクのメンブレン・トラフィッキング
Project/Area Number |
19791358
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 啓子 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70410579)
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Keywords | 歯周病原細菌 / メンブレン / トラフィッキング |
Research Abstract |
慢性歯周炎は感染性疾患であり、原因微生物は偏性嫌気性グラム陰性細菌とみなされている。グラム陰性偏性嫌気性細菌Porphpmomonas gingivalisは最も代表的な歯周病細菌であり、様々な病原因子を持つ。なかでも、菌体表面、菌体外に存在する強力なプロテアーゼであるジンジパインは自身も病原因子となるだけでなく、そのプロテアーゼ活性でもって、本菌の持つ凝集素, 線毛などの他の病原因子の成熟にも深く関わる。ジンジパインは菌体表面、および菌体外でタンパク分解活性のあるタンパク分子として存在しているが、ジンジパイン分子がどのようにしてこの細菌の細胞膜(内膜)、ペリプラスム空隙、および外膜を通過するのか(膜輸送機構)、また輸送過程のどの段階で活性を獲得するのか分かってない。これらを解明することを本研究の目的としている。研究実地計画は順調に進み、前者の膜輸送機構については、新たに見つかったジンジパイン輸送関連因子を解析中である。また、後者のジンジパイン活性獲得については下記の解析結果が得られた。トランスポゾン変異法を用いてジンジパインの局在化が正常に行われていない変異株を分離し、トランスポゾン挿入部位を決定したところ、Lipopolysaccharide(LPS)のコア合成に関わる遺伝子(ADP-heptose heptosyl transferase)であることが分かった。この変異株は(1) LPSおよびAnionicpolysaccharide(APS)の菌体表面多糖が不完全である、(2) 菌体表層にジンジパインが局在できない、(3) 培養上清からはジンジパイン活性化体および多量の前駆体が検出される、という表現形を示した。これらの結果から、ジンジパイン活性化獲得、菌体表層への局在化にはLPS、APSの菌体表面多糖が関わることが示された。これらの結果はMicrobiology雑誌に報告した。
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